日本、実は「おもてなし」不足 京都通の英国人社長苦言
(京都新聞 12月5日)
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20141205000146

日本の文化財保存修理の老舗、小西美術工藝社の社長に転身したデービッド・アトキンソンさん(49)が、新著「イギリス人アナリスト日本の国宝を守る」(講談社+α新書)でこれに異論を唱えている。
日本の観光産業には『おもてなし』が足りない。

【ポイント】
・東京招致で滝川クリステルさんの「おもてなし」演説に、日本のもてなしが格別で高い評価を受けたかのような騒ぎに違和感を覚えた。
・道案内してくれるなど日本人個人の心遣いに感動するが、宿泊施設や飲食店のサービスについてはあまり評価していない。
 むしろ、一方的で融通の利かない点が酷評される場合がある。

・予定より早く旅館に到着したため、長旅で疲れている客人を部屋で休ませたいと女将に頼むと、「チェックインは午後3時です」の一点張り。
 部屋は空いており、掃除も済んでいる。なのに入れてもらえない。
 仕方なく旅館併設のフレンチレストランで昼食を取ろうとすると、「宿泊者専用」と言われ、チェックインが済んでいないため入店できなかった。
・日本の高級旅館のサービスは一般的に、供給側の都合が優先されている。客に合わせる概念が欠如している。

・飲食店の閉店時間も、欧州の一般的な店では決まった閉店時間はなく、長居する顧客に追加注文を聞くなど遠回しに退出を促すことはあっても、日本のように直接的に閉店時刻を告げることはない。
・日本人は自分たちのおもてなしの在り方を正しく知ることから始めるべきです。

・観光業のGDPは世界平均が9%であるのに対し、日本は2%に過ぎない。
・オーストラリア、ドイツ、カナダなど「観光でお金を使う国」からの観光客が少なく、アジア諸国からの観光客の数を増やそうとしている。
・世界有数の文化財保有国でもあるにも関わらず、その価値を生かせていない。
・文化財指定が建物ごとのため、指定外の門や拝殿がボロボロという例がある。

・観光立国を目指すには、いかに何度も旅に来るリピーターを増やすことが大切である。
 二度と来ないと思われてはならない。