日本政府観光局、インバウンド回復へのプロモーション方針発表、市場ごと・段階を踏んで、国内旅行の回復が前提
(トラベルボイス 2020年6月24日)
https://www.travelvoice.jp/20200624-146483

JNTOのインバウンド施策の前提は、国内旅行の回復後に、外国人受け入れの国内理解が必要という。
プロモーション再開は、感染状況や距離的な観点から、東アジアが最初になるとしている。
海外旅行のハードルは上がっており、訪日する特別な目的やテーマが重要なる。
MICEも、国際会議の形態が変化し、リアルとオンラインとのハイブリット化が進む(75%)としている。

【ポイント】
日本政府観光局(JNTO)は、コロナ禍でのインバウンド施策について、各国との出入国規制緩和の状況を踏まえて、市場ごとにプロモーションを再開していく方針だ。
「インバウンドの受入環境を整えるためには、国内旅行の回復が前提。そのなかで、外国人受け入れに対する国内の理解が必要になってくる」と述べ、他国の海外旅行再開の状況に左右されず、冷静にプロモーション再開のタイミングを図っていく考えを示した。

プロモーション再開は、感染収束状況や距離的な観点から「東アジアが最初になるだろう」とし、その後、東南アジア、欧米豪へと広がっていくと想定。
現時点では、日本への関心をつなぎ止めるための情報発信に努め、再開のタイミングを極めながら、地域の感染防止対策の取り組みを発信するとともに、イメージ訴求の広告を打っていく。
実質的な誘客プロモーションやメディアなどの招請事業は、その後になるとした。

withコロナでのトレンドの変化について、感染防止対策やオンライン予約・購入の加速化など今後変化していくものもあるが、日本の観光の魅力は変わらないと強調した。しかし、「感染リスクを前に海外旅行のハードルは上がっている。日本に来てもらうためには、特別な目的やテーマが重要なる」と述べ、訪日市場の回復に向けては、旅行への強い動機づけが求められるとした。

今年5月下旬に実施した調査によると、訪日プロモーション再開時期は、日本政府の入国制限解除後が最も多く55%。ついで国内旅行回復後が30%となった。
ターゲット市場は、東アジア、東南アジア、欧米豪でほぼ同数の回答を集めた。「今後も一本足打法ではなく、多角的に誘客プロモーションを進めていく」と述べた。

withコロナ時代での観光地域づくりでは、時代の要請を先取りする対応を今のうちに進めていくと提言。具体的には、需要の平準化やオーバーツーリズムなどによる地域負担の軽減、多様な旅行者の受け入れ態勢強化、環境への配慮などを挙げ、「世界が注目しているSDGsへの取り組みは、将来的に『選ばれる観光地』になるための重要な要素」と指摘した。

JNTOが任命するMICEアンバサダーを対象とした調査によると、ほぼ100%が「国際会議の開催形態に変化が生じる」と回答。リアルとオンラインとのハイブリット化(75%)、主催者側に感染防止対策が求められる(70%)、感染防止策がある開催地が有利(60%)、大規模会議の細分化(40%)が挙げられた。

「機密防止などの観点から、ハイレベルな会議ほどオンライン化は困難だろう。人的交流が必要なものはリアルの開催に戻る」と発言。JNTOとしては、MICEを「極めて重要な市場」と位置づけていることから、今年6月末をめどに特設ウェブページと日本語フェイスブックアカウントを開設する予定。
オンライン会議やハイブリッド会議のノウハウや安心安全な会議運営などの情報を発信し、会議主催者を支援していく考えだ。