星野リゾート、ニセコに進出 長期滞在取り込み
(日本経済新聞 2022年10月12日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC123SG0S2A011C2000000/

【ホッシーのつぶやき】
星野リゾートがホテル客室の分譲事業などに業務を拡大するという。
円安で訪日が増えているが、海外旅行はしづらくなり国内観光にはチャンスといい、訪日客と国内客をにらんだ戦略を取っている。「訪日客はコロナ前は東アジアからが多かったが、欧米客も増やし、地域リスクを減らすべきだ」といい、決して欧米客が中心ではない。
旅行支援については「遠方や平日の支援を手厚くし、最繁忙期を外した」点を評価している。

【 内 容 】
星野リゾート(長野県軽井沢町)は12日、2026年秋にも北海道の人気スキーリゾートのニセコエリアに進出すると発表した。客室を分譲する手法を同社では初めて導入する。開発資金を早期に回収しつつ、長期滞在の訪日外国人(インバウンド)などの需要を取り込む狙い。また、22年春にオンワードホールディングスから買い取った米グアムのホテルの名称を、23年4月から「星野リゾートリゾナーレグアム」に変更する。

ニセコ町に隣接する倶知安町に23年5月にも地上5階・地下1階の建物を着工する。62室の全客室を分譲し、オーナーが利用しない期間は星野リゾートがインバウンドや国内旅行客の宿泊を募集する。高級価格帯ホテルの「星のや」として運営し、従業員が食材の下準備をして、宿泊する人が客室のキッチンで仕上げるかたちでサービスを提供する。分譲価格や宿泊料金は今後詰める。

「ニセコ東急グラン・ヒラフスキー場」などに近く、登山や紅葉など冬場以外の魅力も訴求する。ニセコエリアは新型コロナウイルス感染拡大前はインバウンドを含めたスキーファンの人気を集め、外資系ホテルの進出も相次いでいる。米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションは20年に「パークハイアットニセコHANAZONO」を開いた。東南アジアなどで高級リゾートを展開するアマンリゾーツも国内4軒目のホテルを建設する。

22年春に買い取った「オンワードビーチリゾートグアム」の名称を23年4月に自社の「リゾナーレ」ブランドに変更することも発表した。客室数428のリゾートホテルで、リゾナーレブランドでは初の海外ホテルになる。

また、12日には群馬県みなかみ町にある「谷川岳ロープウェイ」の運営も始めると発表した。周辺に上質なスキー場が多く、東京からアクセスしやすい点に着目。星野佳路代表は「年間来客数は高尾山(東京都八王子市)の1割ある。潜在成長性が高く国内外に情報を発信する」とした。

11日には政府の新たな観光喚起策「全国旅行支援」が始まり、出入国に関する水際対策も大幅に緩和された。星野代表は「円安で訪日が増え、海外旅行はしづらくなる。国内観光業界にはチャンス」と話した。一方で、「コロナ前は東アジアからの訪日客が多かった。欧米客も増やし、地域リスクを減らすべきだ」と指摘した。

旅行支援については「遠方や平日の支援を手厚くした点や、最繁忙期を外した点は政策として非常に効果的」と評価した。ただ「都道府県ごとに設計が異なり消費者目線では煩雑になっている」と指摘。星野リゾートは原則25日の宿泊分から始める方針(販売は11日から)で、専用予約サイトを開設した。

旅行支援が始まった11日には大手旅行サイトでアクセスしにくい状況が続いたり、一部の自治体の予約が販売早々売り切れたりするなど混乱もあった。