海外観光局のSNS活用の最新事情、観光マーケティングでTwitterの影響力低下が続く、一方でMICEで価値拡大【外電】
(トラベルボイス 2023年2月3日)
https://www.travelvoice.jp/20230203-152822

【ホッシーのつぶやき】
情報伝達ツールの変遷は激しい。Twitterはリアルタイム性がありイベントのサポートでは真価を発揮するが、ストーリーを伝達するのはTikTokとInstagramといった映像系が強い。国際的なフォロワーを持つTikTok、Facebook、Instagramとは影響力に差が出ているという。
日本ではLINEの利用が多いというように。国や世代によって差が生じている。

【 内 容 】
デスティネーション・マーケティングにおけるTwitterの影響力が低下し続けている。旅行者へのリーチやコミットメント、SNS競合他社に劣るストーリーテリング機能、政治的なプラットフォームとしての利用などによって、Twitterは単なるブレスリリース配信ツールとして使われれることが多くなった。

過去10年、Twitterは旅行代理店にとってはなくてはならないプラットフォームだったのは確かだ。しかしながら、米国では、ほぼすべての旅行代理店がアカウントを持っているものの、Twitterへの投資は下降傾向にある。

観光局もたまにしか「つぶやかない」。たとえば、7万人以上のフォロワーを持つビジット・モンタナは昨年9月1日に気象警報についてリツイートしたのを最後に何もツイートしていない。

デスティネーション・トロントのマーケティング担当副社長のポーラ・ポート氏によると、過去5年で同局のTwitterの優先順位は3位から5位に落ちたという。今年は、ストーリーテリング戦略を推進するために、TikTokとInstagramにより多くのエネルギーを費やしていることも明らかにしている。

旅行ホスピタリティマーケティング代理店MMGY Globalのソーシャルメディア・コンテンツ戦略担当バイス プレジデントであるマッケンジー・ブローメリー氏は、クライアントである旅行代理店のTwitterでのキャンペーン予算は縮小し続けていると話す。その大きな理由はイーロン・マスク氏のTwitter買収後の人員削減と競合他社との競争にあるという。

米国で多くの州知事が旅行代理店に対してTikTokの使用禁止を決めた時も、Twitterがその代わりに使われることはなかった。ユタ州観光局マーケティング・コミュニケーション担当ディレクターのベン・クック氏は、「ソーシャルメディアの予算が確保できたら、TikTok用に予定された予算をFacebook、Instagram、Pinterestに割り当てる予定」と話す。

Twitterは現在、主に情報とニュース配信機能として使われている。ユタ州観光局広報担当マネージャーのアンナ・ラフリッジ氏は「Twitterは情報ツール。マーケティング活動での利用は最小限になっていくのは間違いない」という。

MMGY Globalのブローメリー氏は、Twitterで旅行代理店をフォローしている人は地元が多く、より多くの国際的なフォロワーを持つTikTok、Facebook、Instagramとは対照的とも指摘している。また、デスティネーション・トロントのポート氏は「Twitterは、地元の人々や住民にとっては本当に役に立つものだが、旅行計画を立てる外からの旅行者にとってはあまり役に立たない」と話した。

さらに、ポート氏は、Twitter は他のプラットフォームほど新規ターゲットにリーチするうえであまり効果的ではなかったと明かし、「対照的に、InstagramやTikTokなどのビデオ共有プラットフォームは、エンゲージメントからより多くの利益をもたらしている」と続けた。Twitterは、InstagramやTikTokほど、インタラクティブなストーリーテリングは得意ではない。

観光局がTwitterを敬遠しているもう一つの理由は、Twitterが政治的なブラットフォームになっているためだ。観光局としてはブランドイメージを大切にしたい。トランプ政権時代からパンデミックにかけて、Twitterでは政治的な発信が多く見られ、ネガティブなイメージがついてしまった。米国のピュー・リサーチ・センターによると、米国成人によるツイートの約3分の1は政治的なものだという。

一方、Twitterは、そのリアルタイム性から、会議やイベントのサポートでは依然として価値が高い。進行中の会議やイベントを円滑に進めていくうえで、その機能を効果的に発揮している。デスティネーション・トロントのポート氏は「Twitterは、会議やイベントでのチャネルになっていくだろう」と考えている。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。