美術/印象派に鳥獣戯画…人を呼ぶのはやはり名品の力 「東京一極主義」に拍車も(産經新聞 12月27日)http://www.sankei.com/west/news/141227/wst1412270031-n1.html
【ポイント】「今年は入らなかった」といわれる美術展だが、そのなかで逸品をそろえたミュージアムには、やはり長い列ができた。

・東京の国立新美術館で7月から10月まで開催された「オルセー美術館展」は70万人を超す観客を集めた。
・「光の賛歌 印象派展」も、ルノワールの名作「ブージヴァルのダンス」などに人気が集まり、京都だけで31万人が入った。

・中国歴代皇帝が愛した至宝を集め、東京国立博物館(6~9月)と九州国立博物館(10~11月)で開かれた台北・故宮博物院展では、ひすいの彫刻・「翠玉(すいぎょく)白菜」に人だかりができた。
・京都国立博物館で10~11月に20万人を集めた「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展は、33年ぶりに国宝・鳥獣戯画の「甲乙丙丁」4巻が一堂に集まった。
・京都国立博物館では、常設展示館である新陳列館がリニューアルされ、9月に平成知新館として生まれ変わり、前の建物に比べ、展示ケースがかなり大きくなり、超高透過ガラスを使うことで展示物が圧倒的に見やすくなった。 そのオープンを記念して9~11月に開催された「京(みやこ)へのいざない」展は、国宝62点、重要文化財130点を並べる空前絶後の豪華さで、30万人を呼び込んだ。

・大阪のあべのハルカスに3月、午後8時まで開館している都市型美術館がオープンした。 知名度などの不足もあって入りはいまひとつだが、これからに期待したい。
・現代美術では、横浜トリエンナーレ(8~11月)が21万人を入れたが、目標の30万人には届かなかった。
・根強い集客力をみせたのが「木梨憲武展」だ。タレントとして知られる木梨さんがアーティスト活動20年を記念して、5~6月の東京を皮切りに石川(7~8月)、岩手(8~9月)、兵庫(10~11月)で巡回展を行い、20万人を超える観客を集める盛況をみせた。来年も長崎、福岡を巡回する予定になっている。

・「東京一極主義」に拍車がかかった年でもあった。人気を博しそうな展示は東京で長期開催し、地方に巡回しない、という形式が目立って増えてきた。