英旅行会社、日本の観光客受け入れに困惑 「制度複雑」
(日本経済新聞 2022年6月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR09EHY0Z00C22A6000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
訪日観光再開も、条件が厳しすぎて国内外から強く緩和が求められている。
英国の旅行会社は、ビザ取得など制度が複雑、添乗員の随行、マスク着用の徹底などG7の中で最も厳しいと指摘、緩和が求められている。また円安で旅行費用が安くなるが、ロシア上空を飛行できず飛行時間が長くなり、燃料費高騰もありチケットも高くなるといい、欧州から訪日する条件が厳しいとの指摘がある。

日本海外ツアーオペレーター協会が、主要7カ国で日本だけに残っている「1日あたり入国者数制限」などを撤廃し、世界水準の水際対策に緩和するよう求めている。
https://www.travelvoice.jp/20220610-151389
運輸総合研究所も、入国者数制限や観光目的の外国人制限の撤廃など提言している。
https://www.travelvoice.jp/20220609-151394

【 内 容 】
日本が10日から外国人観光客の受け入れを2年ぶりに再開することについて、英国の旅行会社から困惑の声が出ている。新型コロナウイルス対策としてマスク着用を徹底するほか添乗員の随行やビザ(査証)の取得が必要で、「制度が複雑」との指摘が多い。欧州からの本格的なツアー再開には時間がかかりそうだ。

ロンドンに店舗を置く旅行会社アバクロンビー&ケントのケリー・ゴールズ氏は日本の観光客受け入れ再開について「コロナ禍の前から需要は大きく、今回の緩和で関心が高まることは間違いない」とみる。一方で、「マスク着用や添乗員などの規制によって人々が旅行をためらわないように願っている」とも話した。

コロナ前は必要がなかったビザが求められるため、本格的な往来の復活はほど遠いとの指摘もある。日本専門旅行会社のジャパン・ジャーニーズは、この2年間はほぼ収入がなく、社員も解雇した。最近になって顧客からの問い合わせは増えたものの、実際の予約はまだ多くないという。

同社のジェームズ・グリーンフィールドさんは「今回の緩和はガイド付きに限られる上にビザも必要で、本格的なツアー再開は9月ごろになるだろう」と話す。「規制緩和が発表されたときはうれしかったが、制度は複雑だ。日本政府が感染対策に気をつけているのは理解できるが、主要7カ国(G7)のどの国よりも厳しい」と困惑していた。

円安が進んだことで国外からの旅行者にとっては費用が安くすむメリットがあるものの、国によって状況は違う。たとえば英国では現在、日本に向かうルートはロシア上空を飛行しないため、飛行時間が以前と比べて長い。便数が少なく、燃料費高騰もありチケット代も高くなっている。「英国での(インフレによる)生活費高騰もあり、ためらいがあるのかもしれない」とグリーンフィールドさんは話す。

大学職員の男性(25)は「日本にずっと行きたいと思っているが、ガイド付きのツアーは高すぎる」と語り、来年に規制がさらに緩和されたら訪日したいという。

観光客の全面的な受け入れに消極的な日本とは対照的に、英国は1月時点で世界から観光客を受け入れると宣言し、3月には水際規制をすべてなくした。英国の航空便数はコロナ前の水準を回復しており、大陸欧州からの観光客でにぎわっている。欧州各国は重症化率が下がったデータを踏まえて水際規制を相次ぎ緩和・撤廃しており、日本の出遅れが目立っている。