観光白書2021が閣議決定、2020年7月開始の「GoToトラベル」、12月までの利用人泊数は8781万人泊
(トラベルボイス 2021年6月15日)
https://www.travelvoice.jp/20210615-149009
https://www.travelvoice.jp/20210615-149010

【ホッシーのつぶやき】
新型コロナ禍のなかでは、観光白書から次の時代を見通せるものは何も感じられません…
次の時代に向けてなら明日開催の、インバウンドサミット2021「日本のインバウンドは終わったのか?」の方が、大いに期待できます! ご参加いただければ幸いです!
 
日時:2021年6月19日(土) 13:30 〜 17:30
場所:オンライン (Zoom, YouTubeを使用予定)
参加費:無料
申し込みはこちら
https://i.r.cbz.jp/cc/pl/ytbj3718/mncsgtq560jl/2o9i1w6x/

【 内 容 】
政府は2021年6月15日、2021年版観光白書を閣議決定した。新型コロナウイルス感染症が観光にもたらした影響を幅広い観点から分析するとともに、今後の観光再生に向けて課題と具体策を明記した。

第II部では「新型コロナウイルス感染症を踏まえた 観光の新たな展開」として、2020年7月に開始された「GoToトラベル事業」の状況を振り返っている。それによると、全国で一律で一時停止された12月までの利用人泊数は少なくとも約8781万人泊、支給額は少なくとも約5399億円となった。

また、宿泊旅行の平均泊数は1件当たり約1.35泊。1泊での利用が最も多く、約82%となった。宿泊1泊あたりの利用価格については、は「5000円以上1万円未満」の利用者が最も多かった。地域共通クーポンの利用実績が多かった都道府県は東京都、北海道、沖縄県、京都府、静岡県。

第II部では、観光トレンドの変化についても言及。国内旅行では、県内や近隣地域内での、いわゆるマイクロツーリズムの割合が増加。同行者については「夫婦・パートナー」の割合が増加する一方、「友人」の割合が減少し、旅行形態では「個人旅行」の 割合が増加した。

さらに、ワーケーションやアウトドアの需要が高まり、1つの地域に滞在し、文化や暮らしを体感しじっくり楽しむ滞在型観光、時間と場所を分散する分散型旅行も増加。オンラインツアーが普及したことで、訪問意欲向上に加え、地域物産品の販売促進にもつながったとしている。

コロナ収束後の旅行意向については、、2020年7月以降「これまで以上に旅行に行きたい」との割合が増加し、年代別では、10代から30代の若者の旅行意向が強い傾向とする日本交通公社(JTBF)の調査結果も記載した。

宿泊業の課題解決としてDXなどを明記
このほか、第II部では、観光産業の課題を明らかにするとともに、必要な解決策についても明確にしている。

国内旅行の特徴のひとつとして、宿泊日数の短さや月別旅行消費額の偏りがあり、宿泊業では労働生産性(従業員1人当たり付加価値額)が、全産業の平均に比べ低いと指摘。その理由として、宿泊業は建物、客室、浴場、食堂、調理場等、リニューアルや維持管理に多額の投資が必要であり、労働装備率は他のサービス産業に比べ高い水準にある一方で、設備投資効率が低く、生産設備が効率的に活用されず付加価値の向上につながっていないと説明している。

そのうえで、具体的な対策として、観光地の面的再生(廃屋の撤去や泊食分離など)、IT化やDX による省力化や新たなビジネス展開、新しい体験コンテンツの造成、人材育成、サステナブルツーリズムの推進、DMOによる取り組み、アドベンチャーツーリズムの推進などを挙げた。

2021年6月15日に閣議決定された2021年版観光白書の第Ⅳ部では、新型コロナウイルス感染症の対応と観光の復活に向けて2021年度に実施される施策が明記されている。日本政府観光局(JNTO)と地域(地方公共団体・観光地域づくり法人)の適切な役割分担や地域が行うべき活動なども示された。

観光地域づくり法人(DMO)を核とする観光地域づくりの推進では、DMOの育成・支援、情報支援・ビッグデータの活用を促進。適切な役割分担に基づく広域的な連携の強化などを実施する。また、役割分担として、地域(地方公共団体・DMO)は、観光資源の磨き上げや域内交通を含む交通 アクセスの整備、多言語表記等の受入環境の整備等の着地整備を最優先に実施する。

着地整備を行った地域・DMOが作成したデジタルコンテンツは、JNTOが発信・分析を行う。訪日プロモーションでは戦略的高度化も実施。「東京2020大会」後を見据えて、観光ブランドイメージの確立に向けたグローバルキャンペーン、欧米豪市場などで現地PR会社などを活用した効果的なプロモーション事業、アジア市場のリピーターを対象とした大規模キャンペーンなどを展開する。

インバウンドの段階的復活に向けては、新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いている国・地域から小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施。ツアー主催会社がビジネストラックに準じた防疫措置を徹底、管理された小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施することで、地域の受入環境の醸成や「安全で安心な新しい旅のスタイル」の普及を図るものとしている。

出入国の円滑化、休暇改革、観光教育にも
また、観光インフラの整備として、出入国の円滑化にも取り組む。最先端技術を活用した革新的な出入国審査の実現に向けて、世界初の出入国審査パッケージの導入や世界最高水準の技術を活用し、空港での入国審査待ち時間20分以内とすることを目指す。また、FAST TRAVEL推進の一環として、顔認証技術による旅客搭乗手続の一元化(One ID化)や、自動チェックイン機、自動手荷物預け機、スマートレーン、CUTE システム、インラインスクリーニングシステム等の導入を促進する。

さらに、観光振興を図るための施策として、休暇改革に取り組む。年次有給休暇の取得推進、休暇取得の分散化等による観光需要の平準化などを図るほか、持続可能な観光地域づくりを進めていく。

このほか、観光の意義に対する理解を深めることを目的として、初等中等教育を対象とする主体的な学びを設計した探求学習型の教育プログラムを開発し、観光教育の充実を図り、ワークショップなどを通じて全国への横展開を実施していく。