訪日客数4000万人に向けて加速する取り組み、訪日中国人への個人観光ビザ緩和がもたらす変化
(やまとごころ 2019.02.18)
https://www.yamatogokoro.jp/column/inbound-frontrunner/30308/

2019年1月から、中国人の訪日観光ビザ「3年の数次ビザ」「個人用観光一次ビザ」の発給要件が緩和された。
大学の学生、卒業生など3,000万人が対象といい、今後5年間で3万人規模の青少年交流も掲げられている。
数次ビザの緩和は、訪日リピーターの増加にもつながり、旅行商品もゴールデンルートだけではなく多様化するなかで、訪日マーケット担当中国人による日本理解が深まり、交互の理解促進に寄与するという。

【ポイント】
2019年1月から、中国人の訪日観光ビザ発給要件が大幅に緩和されました。

◎有効期間3年の数次ビザの発給要件緩和
3年の数次ビザは、過去3年以内に2回以上、個人用の観光一次ビザを取得して訪日した中国人が申請できるビザですが、ビザ申請の提出書類が簡素化され、経済力を証明する書類も不要になりました。

◎個人用観光一次ビザの発給要件緩和
「一定の経済力を有する者とその家族」と「中国共産党教育部直属の大学の学生、卒業生(ただし3年以内)」に発給。対象大学は75校から1,243校まで拡大した。対象者は3,000万人程度とも言われ、中国国内の一般的な大学ほとんどがカバーされました。
日本と中国は2019年を「日中青少年交流推進年」と定め、今後5年間で3万人規模の青少年交流を掲げており、その一環として今回の緩和策を出した。

2018年の訪日中国人観光客は838万人になった。3年数次ビザの申請手続きが簡素化されたこともあり、2月の春節前に、訪日中国人が大幅に増えると予想した中国の旅行会社は、より一層訪日ツアー商品の設定や募集に力を注いだ。
多くの旅行会社が訪日ビザ緩和のニュースを大々的に伝え、訪日ツアー情報を告知した。

中国人の個人観光ビザは、2010年に中国全土で発給を解禁し、10年間で幾度も緩和された。
(団体観光ビザの全土解禁は2005年)
2010年・2012年の尖閣諸島問題の影響もあり足踏みしたものの、その要因を除けば、ビザ緩和策に伴い順調に中国からの訪日客数は増加している。

観光ビザ緩和政策は、「日本国として相手国を敬い、民間交流を活発化する意思を示す」もの。
大使館・領事館の発給審査も緩くなるため、中国の旅行会社は訪日ツアーの造成・販売が行いやすくなる。
数次ビザの緩和は、訪日リピーターの増加にもつながる。今年・来年の中国人観光客の増加をもたらし、中国旅行社による訪日ツアー造成がさらに拡大する。
訪日商品も、ゴールデンルートだけでは顧客獲得が難しくなるので、商品の多様化を余儀なくなり、中国の訪日マーケット担当者の日本への理解が深まることが期待される。