サービス収支が初の黒字に 2019年、訪日外国人増え
(朝日新聞デジタル 2020年2月10日)
https://digital.asahi.com/articles/ASN2B6T8QN2BULFA022.html

外国と日本のサービスに関する収支「サービス収支」が1758億円の黒字となり、今の統計で初めての黒字になった。
サービス収支は96年に6兆7千億円の赤字だったが、外国人旅行客が増えて減少した。
19年は旅行収支が2兆6350億円の黒字で、前年より黒字額が9・1%拡大した。
日韓関係の悪化で韓国人旅行者は減ったが、ラグビーワールドカップなどで2・2%増えたという。

【ポイント】
財務省が、昨年の国際収支統計(速報)を発表した。
2019年の外国と日本のサービスに関するお金の出入りを示す「サービス収支」が1758億円の黒字となり、今の統計となった1996年以降で初めて黒字になった。
訪日外国人が増えたことが寄与し、全体の経常収支も19年は20兆597億円の黒字で、黒字幅は前年より4・4%増えた。

サービス収支は、▽旅行中の宿泊や飲食費などの出入りを示す「旅行収支」、▽保険や、知的財産使用料などの出入りを示す「その他サービス収支」、▽貨物や旅客の航空海上輸送料金などの出入りを示す「輸送収支」の3項目からなる。

日本はモノの輸出で貿易収支の黒字を稼ぐ一方、サービス収支は赤字となる構造が長年、続いてきた。
サービス分野の競争力が比較的弱いことや、日本人が海外旅行へ多く行くことなどが要因だ。
サービス収支の赤字は96年に6兆7千億円超まで膨らんだが、それ以降は訪日外国人旅行客が増えたことなどを背景に減少傾向となっていた。

19年は旅行収支が2兆6350億円の黒字で、前年より黒字額が9・1%拡大した。
19年の訪日客の消費額は4兆8113億円と前年より6・5%増。日韓関係の悪化で韓国人旅行者は減ったが、全体の訪日客はラグビーワールドカップなどで2・2%増えていた。

その他サービス収支は1兆6008億円の赤字だったが、赤字幅は前年より26・6%減った。日本企業が海外に支払う研究開発費やコンサルティング費が減ったという。
世界的にビジネス活動が縮小した。輸送収支も赤字幅が縮んだ。

輸出入のモノの出入りを示す「貿易収支」は5536億円の黒字で、黒字額は前年から53・8%縮んだ。
米中貿易摩擦の影響などで輸出が76兆1157億円と前年より6・3%減った。輸入は75兆5622億円で、原油価格の下落などにより5・6%減らしたが、輸出の減少が輸入の減少を上回った。

海外の子会社から受け取る配当などを示す「第1次所得収支」の黒字は20兆7202億円。前年から0・6%減ったが、依然として経常収支黒字の「稼ぎ頭」となっている。