10月訪日客、前月比2.4倍の49万人 コロナ前2割どまり
(日本経済新聞 2022年11月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA161UH0W2A111C2000000/

【ホッシーのつぶやき】
10月の訪日客数は49万8600人。10月11日に個人旅行を解禁した数字なので11月はもう少し多くなり、2022年10月から1年間で700万人〜800万人になりそうだ。今日も難波周辺を歩いてみたが外国人が増えていると実感した。
百貨店が好調だという。伊勢丹新宿本店の10月の免税売上高がコロナ前の19年10月比4%増。松屋銀座でも11月1~9日の免税売上高が19年比95%まで回復している。
中国がゼロコロナ政策を取っているので、円安により中国本土以外の消費が伸びているようだ。

【 内 容 】
新型コロナウイルスの水際対策が本格緩和されて1カ月がたち、インバウンド(訪日外国人)消費に回復の兆しが出てきた。日本政府観光局(JNTO)が16日発表した10月の訪日客数は前月比2.4倍の49万人だった。国際線や百貨店の免税店は好調だが、中国からの訪日客はまだ戻っておらず、2019年比では2割の水準にとどまり、本格回復にはなお遠い。

JNTOが発表した10月の訪日客数は49万8600人で、コロナの本格的な感染拡大前の20年2月(約108万人)に次ぐ規模となった。出入国在留管理庁の統計では10月の観光目的の入国者数が前月比15倍になった。

政府が22年10月11日に訪日客の個人旅行を解禁し、短期滞在での査証(ビザ)免除措置を再開したことで回復している。

その効果が目立つのは国際線や小売り分野だ。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の10月の国際線旅客数は合計で約68万7千人と、9月から10%増えた。ANAによると直近の1日あたり訪日旅客数は9月の2.5倍に急増した。

百貨店では伊勢丹新宿本店(東京・新宿)の10月の免税売上高がコロナ前の19年10月と比べ4%増えた。首都圏の旗艦店で時計や宝飾品などの高額品が好調で、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の牧野欣功最高財務責任者(CFO)は「下期は計画よりも訪日消費が増えている」と話す。

松屋銀座(東京・中央)も11月1~9日の免税売上高が19年比で95%まで回復した。三越伊勢丹HDなど大手は免税売り場のカウンターを拡充しているほか、大丸松坂屋百貨店は翻訳アプリの入った販売員用の端末の台数を増やした。歴史的な円安も背景に顧客取り込みに向けた競争は熱を帯びる。

ホテル業界も追い風を受ける。パレスホテル東京(東京・千代田)の10月の宿泊売上高は19年比で8割程度まで回復した。外国人比率は約6割と新型コロナ前と同水準だ。西武ホールディングスは6日時点で12月の宿泊予約室数がコロナ前と比べ11%多い。

政府は8日に閣議決定した22年度第2次補正予算案で、インバウンド対策などの観光再生に計1500億円を盛り込んだ。各地の観光イベントなどへの支援やキャッシュレス決済の導入促進に充て、地方への誘客にも力を入れる。

今後焦点となるのはコロナの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策を続ける中国の動向だ。新型コロナ前の19年には中国・香港からの訪日客が全体の37%を占めていた。22年10月の実績では12%にすぎない。JALの菊山英樹CFOは「中国で共産党大会以降は規制緩和が進むと想定していたが、一気に進む状況にはない」と話す。

5~6月に水際対策を緩和したシンガポールやタイでは、1カ月後の外国人観光客が新型コロナ前の34%前後の水準まで回復した。いずれも日本と同様に中国客への依存度が高い国々で、日本の今後の回復傾向を見通す材料になる。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングの平林知高氏は、11月の日本の訪日客数はコロナ前比で35%程度になると予測する。「中国が来年2月の春節(旧正月)後に出国制限を緩和すれば、23年秋には19年比で7割程度の水準まで回復する」とみる。

国連世界観光機関(UNWTO)がまとめた世界の地域別観光客数では、7月時点で欧州や南北アメリカが19年比8割前後まで回復した。一方、日本を含むアジア太平洋地域は20%台と低調だ。中国のコロナ対策をにらみつつ、米欧などからの観光需要を取り込めるかがインバウンド消費の回復スピードを左右する。