【データ】デジタル・クライシス白書2021
(観光経済新聞 2021年1月25日)
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【ポイント】
正確性に疑義があるデマ・フェイクニュースは、2020年に2,615件あり、1位が「新型コロナウイルス」(1,110件)、2位「第59回アメリカ大統領選」(164件)、3位「大阪都構想・住民投票」(60件)だという。炎上のスピードが「24時間未満」48%(前年21%)と加速化している。
炎上事案で”購入や利用を停止・再検討する人”は34%あるといい、社会的影響も大きくなってきているようだ。

【 内 容 】
シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所は20日、「デジタル・クライシス白書2021」を発表した。
クライシスの発端(炎上事案を放送・記事化するメディア)は、デジタルメディアが98.7%(2019年78.6%)と一極化。24時間以内の放送・記事化が1位(48.0%、2019年21.4%)と加速度化。週1回「炎上」を認知している人の割合が高いのは、1位「広島県」(70.9%)2位「静岡県」(70.3%)3位「沖縄県」(65.7%)。低いのは、「秋田県」(35.5%)「岩手県」(36%)「佐賀県」(40%)。

シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所(所長:佐々木 寿郎、住所:東京都新宿区、以下「研究所」)は、世界的に広がる新型コロナウィルスや米国大統領選挙で混乱した、2020年のデジタル・クライシス(ソーシャルメディアを中心としたネット上で発生した危機や重大なトラブル)を調査分析した「デジタル・クライシス白書2021」を発表します。
第2回調査分析にあたり、第1回同様に、「炎上の露出源」「『炎上』からネットニュースメディアやマスメディアにアウトプットされる状況」「炎上の発生件数及び内訳」「キーワード分析」を行いました。また、新たに、全国47都道府県の男女10代から60代までの一般の方5,104人を対象に、クライシスに対してのリテラシーやその後の行動などの調査を実施しました。クライシスに対する県民性の違いや世代格差などが顕著に表れました。

白書の9つのキートピックス
1.2020年の炎上発生件数は1,415件、前年対比15.2%増加。
2.2020年の炎上事案を放送・記事化するメディアは、デジタルメディアが前年(2019年)78.6%から、98.7%と一極化。
3.2020年の炎上事案の放送・記事化の速度は、「24時間未満」が、前年2019年の21.4%(2位、1位は「24~48時間未満」の32.1%)から、48.0%(1位)と加速度化。
4.2020年の炎上事案と関連性が高いキーワードは、1位「#拡散希望」(1.1%)、2位「#炎上」(0.8%)、3位「korekore19」(0.4%)。
5.炎上事案の分類では、著名人の炎上が42.6%増加(509件→726件)、法人等も8.2%増加(390件→426件)、一般人は18.8%減少(329件→267件)。
6.都道府県別では、1日1回以上「炎上」を認知している人の割合が最も高いのは、1位「広島県」(70.9%)、2位「静岡県」(70.3%)、3位「沖縄県」(65.7%)。逆に低いのは、「秋田県」(35.5%)、「岩手県」(36%)、「佐賀県」(40%)。
7.都道府県別で、炎上事案をデジタルメディアで認知した割合が最も高いのは、1位「山梨県」(81.8%)、2位「福井県」(76.5%)、3位は「香川県」(73.7%)であった。テレビで認知した割合が高いのは、1位「福島県」(78.6%)、2位「岩手県」(77.8%)3位「石川県」(65.2%)であった。
8.炎上事案で購入や利用を停止・再検討する人は、3割(33.5%)。優先順位は下がったと回答した人も含めると約半数(52.5%)を占めた。また、炎上事案のその後の対応を確認する人は58.6%、内容が納得できるものだと良い印象を受ける人が30.4%であった。
9.2020年に確認された疑義言説(デマ・フェイクニュースの疑いがあり、正確性に疑義のある言説・情報)は2,615件、1日平均7.2件発生。

1.炎上発生件数は1,415件、前年対比15.2%増加
2020年に発生した炎上事案は1,415件であり、前年(1,228件)比15.2%増加しました。その内、新型コロナウイルス関連の炎上事案は158件で、全体の11.2%を占めています。コロナ関連では、▽静岡県議がマスクをネットオークションに出品▽緊急事態宣言下に沖縄県を旅行した芸能人が感染▽女性が感染確認後にバスで山梨県から帰京――などがありました。

2.炎上事案を放送・記事化するメディアは、デジタルメディア一極化
2020年の炎上事案を放送・記事化するメディアは、デジタルメディアが98.7%でした。(2019年は78.6%)また、炎上事案を放送・記事化したデジタルメディアは2019年の合計13個から、2020年は44個と3倍増になりました。

3.炎上のアウトプットの速度は24時間未満が5割
2020年の炎上事案のメディアでの放送・記事化は格段に速まっています。24時間以内のメディアでの放送・記事化が、ほぼ半分の48.0%で、2019年の21.4%から倍増しました。

4.炎上事案と関連性が高いキーワードは「#拡散希望」
炎上事案と関連性が高いキーワードは、2020年が、1位「#拡散希望」(1.1%)、2位「#炎上」(0.8%)、3位「korekore19」(0.4%)となりました。2019年は、1位「#炎上覚悟で嫌いなものを言う」(2.2%)、2位「#炎上」(2.1%)、3位「#拡散希望」(1.0%)。新型コロナウィルス関連だと、9位に「#東京脱出」19位「#新型コロナウイルス肺炎」がランクインしました。3位の「#korekore19」は、YouTuber コレコレ氏を指した言葉であり、YouTuberを筆頭にSNSや動画サイトを使った生配信が炎上のきっかけになるケースが増加しています。

5.著名人の炎上が42.6%増加、法人等も8.2%増加、一般人は18.8%減少
炎上原因となった問題行動の主体について、著名人が48.5%、法人等が21.2%、一般人が30.3%でした。2019年と比較すると、著名人に関する炎上事案が726件、前年(509件)比42.6%増加し、法人等も422件と前年(390件)比8.2%増加しました。一方で、一般人は267件、前年(329件)比18.8%減少しました。

6.1日1回以上「炎上」を認知している人は男性より女性のほうが少ない
1日1回以上「炎上」を認知している人は、男性(20.8%)>女性(19.0%)と、男性の割合のほうが高いことが分かりました。年代では、週1回以上「炎上」を認知している人は、「10代」(72.1%)がトップで、以下は年代順に、「20代」(65.3%)、「30代」(58%)、「40代」(53.4%)、「50代」(42.5%)。「60代」は36.5%と、10代の半分程度の認知でした。

【設問の内容】
Q.炎上している状況をテレビやSNSなどで見たり聞いたりした場合、事象のみならず謝罪文の公表などその後の対応まで確認しますか?

【設問の内容】
Q.炎上している状況をテレビやSNSなどで見たり聞いたりした場合、謝罪文の公表などその後の対応スピードが早いと良い印象をもちますか?また、そのスピードはどのくらいが目安と考えられますでしょうか?

9.2020年に確認された疑義言説は2,615件、1日平均7.2件発生
新型コロナウイルス関連の世界的な感染拡大や第59回米国大統領選挙で拡大した「疑義言説(デマ・フェイクニュースの疑いがあり、正確性に疑義のある言説・情報)」に関して、FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ、日本でファクトチェックの普及活動を行う非営利団体)と提携し調査を行いました。2020年に発生した疑義言説の件数は2,615件であり、1日平均7.2件発生していることが分かりました。疑義言説の主体を調査したところ、1位が「新型コロナウイルス」(1,110件)、2位「第59回アメリカ大統領選」(164件)、3位「大阪都構想・住民投票」(60件)で、圧倒的に「新型コロナウイルス」が多いことも分かりました。