夏の観光、受け皿整備急ぐ
レンタカーや働き手不足… 旅行者回復に追いつけず
(日本経済新聞 2022年7月22日)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62796920R20C22A7L83000/

【ホッシーのつぶやき】
コロナ禍で維持費が必要な固定資産が売却されてきた。沖縄県レンタカー協会によると、加盟社の保有台数は6月時点で1万6518台で、2019年同月比37%減だといい、レンタカー料金も上昇しているという。
人手不足も進んでいる。22年5月の宿泊業の就業者数は51万人、19年の63万人から2割近く少ない。この夏の国内客の利用増から今後のインバウンドの復活を考えると、混乱が起こりそうだ。

【 内 容 】
夏休み本番を前に、旅行に不可欠なサービスの供給不足懸念が高まっている。レンタカーの台数は新型コロナウイルス禍前と比べて大きく減り、宿泊施設では働き手の戻りが鈍い。新型コロナ感染「第7波」下でも経済活動の維持を模索する観光地に、弱体化した観光の受け皿が影を落とす。

沖縄県レンタカー協会の調べでは、県内の加盟社の保有台数は6月時点で1万6518台と新型コロナ禍前の2019年同月より37%少ない。移動制限のない今夏は旅行需要が急増している。需給バランスが崩れ、レンタカー料金も上昇している。

大手予約サイトでは7~8月にコンパクトカー1台で1日3万円を超えるプランも並ぶ。県内のホテル運営企業によると、レンタカーがないため周遊せずにホテル近辺で過ごしたり、沖縄行きを諦めたりする旅行客が増えているという。

全国レンタカー協会によると、21年3月末の乗用車のレンタカーは46万台と前年に比べて8%減っていた。自動車は保有するだけで点検・整備や自動車税、駐車代などがかかる。新型コロナ禍の移動制限やインバウンドの蒸発で需要が落ち込み、レンタカー事業者は台数を減らして苦境をしのいできた。
まん延防止等重点措置が解除された22年3月以降は増車を急ぐものの、半導体不足やサプライチェーンの混乱で納車待ちは長引いている。「需要回復の兆しが見えているが、増車の意欲に対して納車が追いついていない」(同協会)

政府は6月から入国者数の上限を1日あたり2万人に引き上げ、外国人観光客の受け入れも再開した。7月中旬までだった政府の旅行支援策「県民割」の期限も8月末まで延長された。受け入れ先となるホテルや旅館では人手不足感が強まっている。
人材サービス大手のエン・ジャパンが運営する求人サイトでは6月の「ホテル・旅行」業界の求人数が前年同月より63%増えた。求人数は21年4月以降一貫して増加傾向で、宿泊施設が人手集めに苦しんでいる現状が透ける。
全国展開する大手ホテルでは、多くが新型コロナの感染リスクや雇い止めを恐れて戻らない。「求人をかけても全く集まらない」(担当者)ため、過去に勤務した経験がある人にも直接声かけして人手の確保を急いでいる。

総務省の労働力調査によると、22年5月の宿泊業の就業者数は51万人。新型コロナ禍前で多くのインバウンド消費で観光地がにぎわっていた19年5月(63万人)と比べて2割近く少ない。長引く新型コロナ禍で人材も他の産業に流出しており、以前と同水準の人員の確保は簡単ではない。

コロナのリベンジ消費に20年ぶりの円安も重なり、入国人数の規制が緩和されれば外国人観光客が急増するとみる向きは多い。3年ぶりの本格的な夏休みを前に、旅行関係者は基本インフラの準備を急いでいる。