Airbnbが今夏アップグレード。同社は旅行者のニーズ変化にどう対応するのか
(MATCHAインバウンドニュース 2022年5月16日)

【ホッシーのつぶやき】
Airbnbの検索方法、過去10年で最大のリニューアルを夏にされます。
検索カテゴリから検索されるようですが、検索カテゴリに入らないものもありそうです。「温泉」「禅体験」といった日本ならではの体験は検索カテゴリに含まれない可能性があるといいます。
どんどん便利になるのでしょうが、従来のスタイルで利用できる配慮も欲しいものです。

【 内 容 】
民泊仲介大手のAirbnbがこの夏リニューアルします。
創業者のBrian Chesky 氏自信が「過去10年で最大の変更」と呼ぶリニューアルの中身とは、どのようなものなのでしょう?
世界の旅行トレンドや旅人の変化を敏感に捉えるAirbnbのリニューアルから、今後の観光の形を推察してみましょう。

公式リリースの中から、変更点をご紹介してまいります。
■新しい検索カテゴリの追加
Airbnbでは、多様化した旅行者の旅のニーズに対応するため、新しい検索方法である「検索カテゴリ」を導入します。
アプリ上で宿を検索すると、宿泊施設群は目的地に関連した検索カテゴリに整理・分類されます。
ポイントは2つだと考えます。1.検索カテゴリの内容、2.検索カテゴリの分類手法です。

1.分類カテゴリの内容について。
上記は新たに設けられる、56の検索カテゴリの一部です。キャンプ、サーフィンのようなアクティビティから、田園地帯、湖畔などの立地に関連したカテゴリも散見されます。
わたしたちはここから、訪日客が旅先を選ぶ際のインサイトを学ぶことができるでしょう。ただしアメリカで生まれたAirbnbですから、おそらく欧米の人々のインサイトということになるかと思います。
カテゴリを見ると、彼らが宿を選ぶ際の基準や、何を目的に旅をするのかという発見があります。
「歴史ある建物」「国立公園」などのカテゴリならば、私達日本人にも理解・共感ができますが、「グランドピアノ」「創作スペース」「シェフ仕様のキッチン」などは、旅先でのクリエイティブな環境を求める旅行者層の存在を感じさせます。
また「ブドウ園」カテゴリなどは、ワイナリーを巡る旅が一般的な欧米ならではと言えるでしょう。彼らが何を求めるかを知ることで、新たなサービスや設備、旅行商品の構築にお役立てください。
一方、「温泉・湯治」「禅体験」といった日本ならではの体験を提供している場合、検索カテゴリが設けられていないことでそもそも訴求ができないという課題が今後出てくるかもしれません。
「彼らの選択肢の中に自分たちの施設を含めるには?」という観点は、商品設計やPRをする上で重要になってくるでしょう。
ちなみに、ここには記載されていませんが、城(Castle)というカテゴリもあるようです。「納屋」「羊飼いの小屋」など日本にはほぼない施設もある。

2.検索カテゴリの分類手法について。
リリースによると、各施設のカテゴライズは説明文や口コミ、写真のキャプションなどを機械学習技術で評価したあと、人力で確認を行って実行されるそうです。
つまり、城泊を提供していて「城(Castle)」カテゴリに分類されるためには、まずAirbnbのプログラムがそうと気づくようタイトルや説明文を記載する必要があるようです。
いわゆるSEOやMEOに似た作業を、今後は各施設担当者が求められることになるのかもしれません。

■宿泊先の分割

リニューアル後のAirbnbでは、滞在期間中に別々の2つの宿泊先を分割して予約できる「宿泊先の分割」機能を実装します。
これは旅行の長期化トレンドを踏まえたものです。リリースによると過去3か月にAirbnbで予約された宿泊日数のほぼ半分は、1週間以上の旅行であったそうです。
旅程が長くなれば、当然別の施設に泊まる需要は高まります。複数の宿泊施設に泊まる場合、都度予約作業をする必要がありましたが「宿泊先の分割」機能を使えば、利用者側の手間は削減されます。
また、こちらは前述の「検索カテゴリ」機能との連携もされるようです。例えば国立公園の検索カテゴリを閲覧する場合、「宿泊先の分割」機能でザイオン国立公園とグランドキャニオンの近くにある家の組み合わせが候補として提示されたりするそうです。
宿泊施設側は今後、旅行者がどのようなスケジュールで旅を行うことが増えてくるのか、自分たちの施設がその中でどのような役割を担うのか、を事前に推測しながら施設運営をする必要があるでしょう。
極端な話をすれば「2施設目に選ばれる宿」というポジショニングもあり得るのでは無いでしょうか?