じゃらん『とーりまかし』2013年6月号に書かれていた「ASEAN訪日インバウンド最新事情」のうち、ASEANの訪日観光客の上位3ヶ国のタイ、マレーシア、シンガポールについての動向をご紹介する。
 
タイ、マレーシア、シンガポールの3ヶ国の訪日インバウンドは53万人と、ASEAN諸国の6割以上を占める。
この3ヶ国における「日本を旅行先に選んだきっかけ」は、1位:“日本の食事”(56.7%)、2位“日本の自然や風景”(55.9%)、3位:“日本のライフスタイル”(47.9%)、4位“日本の伝統的な文化”(44.0%)となっている。
マレーシアは、“日本の食事”(47.7%)が4位と、イスラム教の食事(ハラール)の影響が出ているようだが、“日本の食事”を求める傾向が強いことは嬉しいかぎりだ。
最近、ASEAN諸国でも日本食レストランが広く展開されており、「本場の日本食を食べてみたい」との希望が強いようだ。
2位の“日本の自然や風景”(55.9%)には、春の桜、秋の紅葉、冬の雪と、日本の四季への憧れが強いようだ。冬の雪に至っては、ASEAN諸国では見ることができないものでキラーコンテンツになっている。
3位の“日本のライフスタイル”(47.9%)は、アニメやテレビドラマの影響が強いと分析されているが、徐々に韓流ブームに押され、日本の独壇場ではなくなりつつあるとも分析されている。
4位“日本の伝統的な文化”(44.0%)が入っているのも嬉しいかぎりだ。
これらの傾向は年代差もあまりなく、全世代に共通の傾向でもあるようだ。
 
「旅先を決める際、日本以外の国を検討したか」の質問がされている。
“日本以外は検討していない”が27.8%ある一方、他国を検討した人のうち1位“韓国”(34.1%)、2位“中国”(20.0%)、3位:“台湾”(18.5%)、4位“香港・マカオ”(13.2%)となっており、韓国が強みを発揮しているようだ。
ここ数年、K-POPや韓流ドラマなどの韓国カルチャーがASEAN諸国に積極的に進出した影響だろうと分析されていた。
 
また、他国と比較して日本を旅行先に選んだ人の理由は、1位“魅力的な観光コンテンツがあったから”(61.1%)、2位“休暇の季節と旅行内容が合っていた”(41.6%)、3位:“滞在時間がちょうどよい”(39.8%)、4位“価格的にちょうどよい”(37.8%)があがっていた。
2位“休暇の季節と旅行内容が合っていた”(41.6%)には注目できる。
ASEAN諸国で長期休暇のある5~6月や10~11月が、日本の新緑や紅葉の時期にあたること。そしてゴールデンウィーク後で日本人の旅行時期と微妙にずれていることも、観光地にとってはありがたい結果である。
 
いずれにしろ、観光コンテンツは不変のものではなく、絶えず魅力を磨いていかなければ継続して訪れる場にはならないことを肝に銘じたいと思う。