JALやANA、訪日再開で日本行き予約急増 香港線再開も
(日本経済新聞 2022年10月25日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC101LL0Q2A011C2000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
水際対策が緩和され、JALやANAの日本行き国際線予約は3~5倍に急伸しているという。しかし円安進行が日本発の旅行需要を下押ししており、海外出張を制限している日本企業も多いなか、日本発の需要が落ちる心配があり、路線拡充に影響が生じることになりそうだ。
航空路線は行き帰り満席にしたいので、日本からの旅行需要、海外出張が増えることも望まれる。

【 内 容 】
政府による新型コロナウイルス対応の水際対策が緩和され、コロナ禍で停滞していた外国人観光客(インバウンド)の受け入れが本格的に再開した。円安進行も背景に日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などの日本行き国際線予約は3~5倍に急伸している。一方でビジネス需要の戻りが弱いほか世界の空港の人手不足が新たな足かせとなりつつある。

JAL、ANAが3~5倍
「日本に来たいという外国の皆さんの期待に応えられてうれしい」。5日、成田空港で行ったフランクフルト就航60周年を記念したイベントでJALの赤坂祐二社長は期待を込めた。同社では政府が9月22日に入国者上限の撤廃や個人の観光受け入れ解禁を発表して以降、日本行きの国際線予約が急伸した。9月下旬時点の11~12月搭乗分の予約は緩和発表前の9月中旬と比べ、3倍以上増えた。

特に多いのが東南アジアや台湾、香港からのインバウンドだ。日本が本格的な観光シーズンを迎えることに加え、円安進行も背景にある。JALの国際線全体の旅客数は足元でコロナ前の5割弱。2023年1~3月にコロナ前比65%に戻ると見込んでいたが、上振れる可能性もある。

ANAも年末年始の日本行き国際線の1日あたり予約が緩和発表前の5倍に増えた。足元の国際線旅客数のコロナ前水準は明らかにしていないが「今回の緩和でさらなる上振れを期待している」(同社)。

JALは水際対策緩和に合わせ、香港―羽田線の運航再開を当初の10月31日から11日に前倒しした。ANAも羽田―香港線の運航を31日に再開するなど復便が相次ぐ。

懸念は中国の動向、ビジネス客の回復
一方で国際線のコロナ前水準の回復は24~25年になるとの見方が多い。背景の1つは日本発の国際線需要の回復の遅れだ。伸び率は海外発日本行きの伸びに比べて弱い。円安進行が日本発の旅行需要を下押ししているほか「海外出張を制限している日本企業が多くある」(JALの赤坂社長)ことも背景だ。

ここに来て新たな懸念も出てきた。欧米など世界の空港で人手の確保が追いつかず、日本の航空会社が増便しようとしても就航先の空港が受け入れられないケースが出ている。人手不足が常態化すれば供給体制が追いつかなくなる可能性もある。

中国の動向も懸念材料だ。コロナ前の訪日客数の4割弱は中国・香港が占めたが、依然として中国が厳しい行動制限を取っている。「中国国内の景気が相当悪い」(中堅航空幹部)との声もあり、往来が段階的に再開してもコロナ前ほどの需要を見込めるとは限らない。当面は訪日需要に加え、22年内にもコロナ前水準への回復が見えてきた国内線の需要安定がカギとなりそうだ。