MaaSで何が変わるのか? 東京・お台場エリアに新たな移動パターンを生む実証実験アプリのポイントを聞いてきた
(トラベルボイス 2020年2月5日)
https://www.travelvoice.jp/20200205-145354

さまざまな交通手段をシームレスにつなぐITを活用した移動サービス「MaaS」の実証実験が広がっている。
起点と終点を入力すれば最適な移動手段が提示されるとともに、いろいろな得点もつけることができる。
しかし、この「MaaS」は、簡単には全国展開できるものではない。地域限定のなかで賛同した事業者がいて初めて展開できる。交通系ICカードや経路検索も物販、特典が付けられ、かなりシームレスになっている。
「MaaS」は理想だが、今は交通系ICカードに回数券機能や周遊パス機能の充実などの利便性を高める方が現実的ではないか。いずれにしろ膨大な経費が伴う。

【ポイント】
さまざまな交通手段による移動を、ITでシームレスにつなぐ新たな移動サービスの概念「MaaS」。
このほど東京臨海副都心(お台場エリア)での実証実験について、ナビタイムジャパンとドコモ・バイクシェア、Japan Taxi、東京臨海高速鉄道、KDDI、東京臨海副都心まちづくり協議会の6者による「MaaS実証実験アプリ『モビリティパス』を取材した。

ナビタイムジャパンは、お台場エリアは「エリア内には素晴らしい場所が多くあるが、それぞれが必ずしも線で繋がれていない」と話し、「回遊性を向上させるのが一番の目的」と説明し、「点と点(各スポット)を繋ぐこと」「行き先や経路を探して乗車するまでのスムーズ性」の2つに注力した。
具体的には、東京臨海高速鉄道「りんかい線」とドコモ・バイクシェアのシェアサイクルに加え、Japan Taxiの手配で期間限定の無料の予約制シャトル「東京臨海シャトル」を運行。同シャトルは、お台場駅や日本科学未来館、ビッグサイトなどお台場エリアを大きくぐるりと回るルートと、晴海や勝どき、豊洲の高層マンションが多く建つ居住エリアから直接、お台場エリアの東京テレポートやテレコムセンターまで入れるルートの2ルートを運行した。
アプリ上のエリアマップには、りんかい線による近郊地域からお台場中心地を結ぶ直通ルートと、同シャトルのルートの新たな路線図が誕生。「点と点を繋いで線にした。これを路線図として表現し、回遊して遊べることが分かる地図を作った」と強調した。

さらに、同エリア内に300平方メートル四方に貸出/返却場(ポート)があるドコモ・バイクシェアで、路線上に限らない細かな移動も可能になる。
これら3つの移動手段をアプリで繋ぎ、現在地から行きたい場所を検索すると最適な移動を提案。
検索結果に対し、無料シャトルはそのまま予約を、シェアサイクルは予約と1日パスの購入も行なえるようにした。
シェアサイクルは1日パスの購入時に4ケタ数字のアンロックキーが発行されるので、予約から乗車までシームレスに利用できる。
ルート検索時にはアプリに登録されているスポットそれぞれ、画像とともに観光情報を掲載するほか、一部では施設や商品の割引などのクーポンも用意しており、エリアの魅力向上と回遊を促す仕掛けも組み込んだ。

実証実験は2020年1月16日~2月14日まで実施。
アプリは日本語のほか、英語、中国語、韓国語に対応し、訪日客の回遊利便性を高めている。

東京都の「MaaS社会実装モデル構築に向けた実証実験プロジェクト」では本実証実験のほか、竹芝エリアでの鉄道や船舶など複数の公共交通機関による連携と、立川駅周辺エリアでの電子チケット機能付きMaaSアプリの合計3つの実証実験を実施。
東京都では将来的に、都内全エリアを繋ぐMaaSの実現を目指している。