peachの井上慎一代表取締役CEOの講演の③をご紹介する。
 
Peachは「圧倒的低価格による新規・潜在需要を掘り起こすビジネスモデル」というが、「お金がない」=「できない」「現状で我慢する」のではないという。
発想の転換で「低コスト」+「コスト以上の効果」が得られる施策を考えるという。設備などは徹底したローコスト化を図りつつ、知恵と行動力で不可能を実現させられているようだ。
就航イベントもお金をかけるのではなく、社員や首長がハイタッチしてお出迎えするなどの工夫がある。新規路線就航のPRは、テレビCMに代わって道頓堀クルーズを利用したという。
客室乗務員の募集も、信じられないくらいの低予算でウチワを作り、社員みんなで配っている。ハローウィンの時は、社員が仮装してお客さまをお出迎えしたり、クリスマスには、搭乗した子供さんのネーム入りプレゼントをするサプライズを用意していたり、知恵と工夫を感じる。
 
これらのアイデアも毎月開催するブレーンストーミングで、社員の発言から生まれるという。井上社長も元気だが、社員の皆さんと活発な議論が繰り返されるから、peachは元気なのだろう。そして、ともかくアットホームだ。
Peachでは従業員満足度が高いという。そしてそれが顧客満足を創るのだともいう。
 
Peachの平均搭乗率は84%(お盆期間中は国内93.6%、国際92.0%)という。就航率は99.8%。定時運行率は86%と、いずれも高い実績をあげている。
(ジェットスターの搭乗率は70%、エアーアジアの搭乗率は56%)
 
「AB-ROAD」のエアラインランキング2013総合満足度で10位にランキングされている。上位には、シンガポール航空や日本航空、ANAが並んでおり、世界の並みいる航空会社のなかで10位というから凄い!
利用者は、観光・帰省・親族訪問等が目立つという。初めて航空機を利用する旅客も多いそうだ。男女比率は40:60で女性が多い。年齢層は20〜30歳代を中心だが幅広いという。
 
空港への貢献度も高いようだ。旧関空会社の4〜6月の営業利益は1.5倍になったという。地域経済への影響を試算すると、年間5万5千人の利用の半分(往復)の、27500人が1人3万円使うとすれば8億2千万円もあるという。札幌では観光客が5%、石垣島では6.1%増加したともいう。
 
航空ビジネスは、価格が下がると乗客が増え、価格が上がると乗客が減るモデルだそうだ。今、行政、空港、企業の支援がある分、安い運賃で就航できており、結果として“人の流動化を促進”しており、いい気経済に貢献しているという。
 
Peachは世界経済フォーラムや関西財界セミナー等で受賞されているようだが、新しいビジネスモデルで挑戦を続けているから成功しているのだろう。井上社長も挑戦をやめれば企業は存続できないと語られた。
 
今年度、黒字達成がミッションという。今年度末に黒字達成だと2年1ヶ月で達成となる。なんと素晴らしいではないか。LCCを「格安航空」と呼ばない日がくるのも近いことだろう。
 
「日経ビジネスオンライン」の井上CEOインタビュー記事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130624/250117/?rt=nocnt
 
昨日のNEWSに、中国のLCC『春秋航空』が、2014年5月末に国内線3路線で運航就航する
と出ていた。インタビューからは「安くする」のイメージしか受けなかった。Peachと基本的なコンセプトが違うように感じる…
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD050SX_V00C13A9EA1000/?dg=1