「歩きたくなる街」大分先行 街路や広場、県内9割推進
データで読む地域再生
(日本経済新聞 2022年9月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC059R10V00C22A7000000/?n_cid=NMAIL007_20220917_A&unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
京都市の四条通の車道縮小・歩道拡幅が行われたのが2015年。自動車優先から歩行者優先に舵を切られて驚いた。当初、車は混雑したが、自然と迂回して収まったといい、歩行者は倍増したと聞く。今は地下道を歩く人はまばらだ。
全国で「歩きたくなる」街づくりに注力し始めたという。取り組む自治体比率が最も高い大分県は90%だという。大阪府も2位で43%。まもなく難波でも車道から歩道への転換が始まる。
もう高度経済成長の時代は終わった。人が生活しやすいこの流れが成功して欲しいと思う。

【 内 容 】
【この記事のポイント】
・「居心地が良く歩きたくなる街」をめざす自治体が増加
・大分県や三重県が先行、駅前広場の整備などでにぎわい
・ひと中心の街に転換、地域経済活性化や健康づくり支援

空洞化する中心市街地ににぎわいを取り戻そうと、全国の自治体が「歩きたくなる」街づくりに注力し始めた。推進都市は2022年6月末時点で328都市と、全自治体の2割を占める。全国最多の大分県では9割の自治体が取り組む。

街中の歩行者を増加させることを狙う「ウォーカブル推進都市」制度は国土交通省が19年7月に始めた。街路や公園、広場の利活用といった計画・構想を認定し、事業費の半額を国費で補助する。車中心からひと中心の空間に「まち」を転換させることで、域内消費や健康寿命の延伸など地域課題の解決につなげる。

都道府県別で取り組む自治体の比率が最も高いのは大分県(89.5%)だった。以下、大阪府(43.2%)、東京都(42.9%)と再開発の進む大都市が続いた。上昇幅では大分県(84.2ポイント)に加え、三重県(36.7ポイント)や秋田県(19.2ポイント)が上位となった。

大分県は17年に県庁所在地の大分市も含めた全市町村が人口減に転じたこともあり、中心市街地衰退への危機感が強い。再生の起爆剤として豊後大野市や津久見市が施策を積極的に活用し、モデルケースとなった。

豊後大野市は市内主要駅であるJR豊肥線三重町駅前の駅前通りなど3.8ヘクタールを「まちなかウォーカブル区域」に設定した。国の補助を得て遊休地を買収し、駅前に広場や駐車場、バスロータリーを整備する。三重町駅の乗降客が減少していることもあり、駅前の活性化で鉄道利用者の増加につなげる狙いもある。

津久見市もJR津久見駅周辺の滞在者を増やすため、駅前の公園を造り直す。柵や遊具を取り払って緑化し、園路を整えた。7月末にはプレイベントとして夜市を開き、1000人を集客した。公園に接する市道も歩行者天国として周遊性を高める。公園は9月中旬までに本格供用する。

上昇幅2位の三重県でも県内最多の乗降客数を誇る近鉄四日市駅前(四日市市)で、片側3車線1.6キロメートルをバスターミナル施設や都市型スポーツの拠点へと造り替える計画が進む。沿道のホテルやオフィスビルも1階部分を誰でも入れるオープン空間とし、にぎわいづくりにつなげる。27年度の完成を目指す。

先行して整備を進める自治体では地価上昇や商業施設集積などにも効果が表れ始めた。兵庫県姫路市はJR姫路駅前で自家用車乗り入れを禁止し、歩車共存の「トランジットモール」化した。コロナの影響が出る前の20年の駅前の公示地価は再整備前の14年に比べて1.9倍に上昇し、近隣商店街では新規出店が増えた。市の担当者は「駅周辺に若い人の姿が格段に増えた」と話す。

愛媛県松山市は伊予鉄松山市駅前で片側3車線の道路を1車線に減らし歩行空間を拡大した。市の歩行量調査によると、平日の歩行者が10年で倍増した。下落していた地価も上昇に転じた。

ウォーカブルシティーは世界的にもまちづくりのトレンドとなる。米国ニューヨーク市は10年以降、劇場街ブロードウェーで車両の通行を制限し、歩行者増につなげた。タイムズスクエアとグランド・セントラル駅の中間に位置するブライアント・パークにはカフェやレストラン、スケートリンクなどを設け、年間約20億円の収益を得る。

英国ロンドン市もオックスフォード・ストリートを歩行者天国とした。フランス・パリ市もエッフェル塔周辺から車道を排除する。広大な緑地公園をつくる計画を推進しており24年の完成を予定する。