欧米6カ国で「持続可能な旅行」はどこまで実践されているのか、意識と行動に大きなギャップ、フォーカスライトが調査レポートを発表
(トラベルボイス 2023年12月19日)
https://www.travelvoice.jp/20231219-154737

【ホッシーのつぶやき】
持続可能な旅行に意識が高い人は増えている。移動手段では二酸化炭素排出量を考慮する意識の人は半数だとというが、実際に行動する人は10%。価格より環境へ配慮で宿泊施設を選ぶ人も半数いるが、実行できる人は少数という。
SDGsの意識は高まっており良いことではあるが、実行できる人が少ないのは当たり前だろう。

【 内 容 】
米国の旅行市場調査会社フォーカスライトは、今年のフォーカスライト・カンファレンスで、持続可能な旅行に関する最新の調査レポートを発表した。それによると、旅行者の多くは、持続可能な旅行に対して好意的な態度を示しているものの、その理解に欠けているため、現状では旅行者の選択に影響を与えることがほとんどないという結果になった。

そのうえで、旅行者の問題意識、持続可能な旅行への動機、旅行形態、旅先の持続可能性について、旅行者がどの程度責任を持つべきかを考えることが、旅行者を巻き込んで持続可能な旅行を目指す旅行業界にとって極めて重要と指摘している。

調査は、2023年6月2日~26日にかけて、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインで、過去12か月間に少なくとも1回1泊のレジャー旅行を行った人を対象にオンライン調査を実施した。

「利便性より環境配慮」が多勢、一方で実際の行動は少数派
まず、交通機関について、調査対象の全ての国で、約半数の人が利便性よりも二酸化炭素排出量を考慮して移動手段を選択する可能性が高いと回答。しかし、交通手段をどのように選択したかを見ると、実際に環境への配慮に基づいて移動手段を選択している人は10人に1人程度。カーボン オフセットを購入したのは3~8%にとどまった。

宿泊でも、約半数の人が価格よりも環境への配慮で宿泊施設を選ぶ可能性が高いと回答。しかし、交通機関と同様に、前回の旅行で以前と同じような価格、立地、快適さの施設をどのように選んだのかを尋ねると、環境への配慮の条件を選んだ人はかなり少なかった。同じような水準の宿泊施設のなかで、「持続可能性が宿泊施設を選択する最大の要素である」と答えたのはわずか 6~13%だった。

日常生活でサステナビリティを意識している人のあいだでは、グリーンな交通や宿泊を選択する可能性は高まるが、それはまだ少数派。日常でサステナビリティを意識している人のうち、旅行でも環境に優しい選択をしている人は5人に1人。日常で意識していない人では、その割合はさらに低くなる。

旅先で問題となるのが混雑、つまりオーバーツーリズムだ。調査結果によると、約半数は「混雑していなければ、あまり知られていない場所を訪れたい」と答えた。直近の旅行で混雑を避けるためにあまり知られていないエリアに滞在した人の割合は28%。静かな場所が好きだと言う人の数と、それを実行する人の数の間には依然として大きな差がある。

フォーカスライトでは、持続可能性の問題が旅行体験に直接影響を与える場合、業界はそのギャップを少しずつ埋め始めていく必要があると指摘している。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社から届いた英文記事を、同社との正規提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。