先日、じゃらんリサーチセンターの観光振興セミナーで『雪マジ19』の成果をお聞きした。昨年も感心したが、二年目の成果も素晴らしいのでご紹介する。
 
スキー人口は1993年の1860万人をピークに1/3に減少している。1990年代から人気が出ているスノーボード人口を足しても最盛期の1/2であるという。
日本全国のスキー場は600カ所以上ある。最南端は宮崎県のスキー場だが天然雪が降る。これほど天然雪が豊富な山々が多い恵まれた自然環境は少ない。隣国の韓国ではスキー場は17に過ぎない。しかも日本は都市部からのアクセスも便利だ。それに温泉や食の魅力を加えると世界に誇れる観光資源である。
 
2010年にスキー・スノーボードを実施した人のうち、初めてスキーをした時期は、小学校前23.0%、小学生の頃39.5%、中学生の頃12.0%、高校生の頃10.0%と、小学校卒業までに60%以上が経験している。また、初めてスノーボードをした時期は、高校生の頃14.5%、高校卒業後、社会人になるまで33.0%、社会人になってから12.0%と、高校生の頃から社会人になるまでに50%近い経験がある。
 
「19歳にとっての3つの壁」というものがある。①同行者が“親”から“友人・仲間”へ変化する壁、②費用負担が“親”から“自分”へ切り変わる壁、③ファミリー向きな“スキー”から若者向きの“スノーボード”へ切り替わる壁である。
 
親と離れ、友人と行動するなかで、自分で調達できる費用負担の壁は大きいようだ。この壁を越え、ゲレンデに足を運んでもらうのが『Snow Magic雪マジ19』で、“全国のスキー場で、いつでも19歳は何回滑っても無料”というキャンペーンである。
19歳の時、“無料なので何度も来られ、上手になって嬉しい”と感じてもらうのが狙いだ。そして20歳代での来訪を促進するとともに、30歳代以上になっても子連れファミリーで再訪してもらうためのキャンペーンである。
 
過去にスキーの経験があり2010年もスキーを経験した人は、30歳から49歳の子供連れのファミリー層が最も多いという結果が出ている。また、“転ばずにほとんどの斜面を滑っておりれる”中級層が来訪者の60.9%になるという。
 
じゃらんの『とーりまかし』を愛読している。何といっても綿密な分析と駆使された統計データである。視点も鋭い! そして、このセミナーではさらに映像や写真でリアルに語られる。
『雪マジ19』では、この二年間の分析が聞けるので貴重だった。
「ゲレンデに若者が足を運ばなくなった」 という言葉は、「観光に若者が出て行かなくなった」と同義である。若者を動かす誘因策を考えていかなければならない。
 
http://jrc.jalan.net/j/2013/04/1361919-snow-ma-91ef.html