インバウンドサミットin瀬戸内 基調セッション「なぜ人々は瀬戸内に魅了されるのか」
(MATCHAコラム 2024年12月4日)
https://company.matcha-jp.com/column/6158/

【ホッシーのつぶやき】
Airbnbの田邉さんの言う「観光の魅力は特別な体験ではなく”普段の生活”にある」に尽き、”民泊”の魅力もここにある。青凪の総支配人の下窪さんも「地域に1軒しかない食堂」の体験に外国人の喜びがあった。四国ツアーズの出尾さんは、徳島県祖谷地区の山村で”おばあちゃんを主役にしたツアー”を展開されており、ヨーロッパからのツアーが増えている紹介だった。
観光の話で「うちには何もない」という人が多いが、”何もない地域なんてない”を感じるセッションだった。

【 内 容 】

登壇者:Airbnb Japan株式会社代表取締役・田邉 泰之氏、瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新総支配人・下窪 日登美氏、四国ツアーズ株式会社地域コーディネーター・出尾 宏二氏、株式会社MATCHA 代表取締役社長・青木優、
フリーアナウンサー / いよかん大使 武内 陶子 [モデレーター]

本セッションでは、いよかん大使の武内陶子氏がモデレーターとなり、パネリストたちに以下のような質問をしながら、インバウンド市場を魅了する瀬戸内の魅力について議論を深めました。

「インバウンドは都市部に集中している印象もありますが、地方でのインバウンド市場に関してどのように感じていますか?」
「地域に訪れる訪日のお客様は、どんなことに魅力を感じていますか?」
「海外の方に響く魅せ方のコツなどはありますか?」

パネリストのコメント
– AirbnbJapan株式会社 代表取締役 田邉 泰之氏

「今年の上半期だけで1270以上の市町村で物件を提供し、すでに多くの地域で送客が実現しています。全国1700を超える市町村の中でも、多くのお客様がさまざまな場所を訪れており、地域の魅力が広がりつつあります。

観光の魅力は特別な体験ではなく、「普段の生活」にあると感じています。例えば、ある方が海外のお客様をお墓参りに連れて行ったところ、想像以上の感動を得たそうです。「明日も連れて行ってほしい」と頼まれるほどでしたが、お墓参りは頻繁に行くものではないためお断りしたものの、日常の風景にこれほど喜ばれることに驚いたといいます。普段の生活を垣間見ることができるだけで、訪問者は大満足するのです。

また、食文化や歴史、アウトドアなど、日本各地には豊富なコンテンツが揃っています。東京でも興味深い事例があります。80歳のあるおばあちゃんがAirbnbに登録し、英語が話せないにもかかわらず、身振り手振りでコミュニケーションをとる姿が大人気です。どのアプローチでも最終的には、地域の人々が主役となり、彼らの生活や文化が訪日客を魅了するのです。」

-瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新 総支配人 下窪 日登美氏

「ガイド付きで観光地を巡る方も多くいらっしゃいますが、一方で 『もっとローカルな体験をしたい』というニーズが増えていると感じています。私たちにとっては日常的で特別ではないものが、訪問者にとっては豊かな価値を持つと再認識させられます。そのため、まずは私たち自身がその価値に気づき、理解することが大切だと強く感じています。

館内での体験はもちろん大切で、私たちもお客様の満足度向上に努めています。しかし、地域全体を巻き込んだ体験を提供することで、お客様の喜びがより大きくなると実感しています。特に最近、このことに気づかされる場面が増えており、地域全体での体験価値を高める重要性を改めて感じています。」

– 四国ツアーズ株式会社 地域コーディネーター 株式会社地域ソリューション パートナーズ徳島支社 アドバイザー 出尾 宏二氏

「徳島県も外国人観光客が増えており、年間宿泊者数は約5万人と少数ながら、そのうち約43%が香港からの訪問者です。次いで台湾、中国本土、アメリカ、フランスと続きますが、今年はフランスが他国を追い抜く勢いで、ヨーロッパからの訪問者が増加している状況です。

ガイドが重要なのは、観光客の体調や興味を察知し、柔軟に案内内容を調整することです。食に関しては、食べること自体ではなく、焼いている職人との交流が印象的で、こうした職人との会話が忘れられない体験となるのです。

高級グルメやおしゃれな欧風料理も良いですが、田舎の地域では、ランチ自体が人と交流する手段となり、「交流ランチ」としての価値が大きいと感じます。料理を作るお母さんや、焦がしてしまった大判焼きを焼く職人の話が、訪日客にとって楽しい思い出となるのです。
最終的には「人とのつながり」が鍵であり、人間関係の大変さもありますが、そこにこそ幸せや楽しみがあると強く感じています。」

最後は、各パネリストより瀬戸内を一緒に盛り上げていこうというエールが送られました。