『観光のひろばZOOM ③』
~オンラインを味方に! オンラインツアーの成功事例とこれから~
               発表者:森なおみ
               株式会社インプリージョン プロデューサ

森さんは、大阪プロガイドマネージメント協会事務局長や、ワイナリーの応援活動を長年務められ、大阪ワイナリー・関西ワイナリー協会事務局長や西日本ワイナリー協会事務局長を歴任し、第1回大阪商工会議所の「おおさかサクヤヒメ賞」と「OSAKA旅めがねグッドデザイン賞(2018年)」を受賞された素敵な女性です。

講演は「なぜ今オンラインなのか?」からお話をいただきました。
「コロナで変わる消費動向」の相関図を示され、観光、飲食、イベントが大打撃を受け、三密を避け、そしてリモートワークや巣ごもり需要が生まれ、「オンライン業界」や「シェアリングサービス」「お取り寄せ」「テイクアウト」などの需要を生み出したと、丁寧に説明いただきました。
新型コロナの影響を受け、観光の形も変わってきました。
近場の魅力を再認識する「マイクロツーリズム」や、会わない観光「オンラインツーリズム」があります。

オンライン体験の事例を紹介します。ただの交流会だけではない、まるで泊まったかのような体験の「オンライン宿泊」(ゲストハウス「whykumano」)。地方のスナックで一緒に飲み、盛り上がる「オンラインスナック体験」(1時間千円程度)、利用者の7割が女性といい、女性があまり体験できないものとして人気です。巣ごもり生活で増加した体重をエクササイズする「オンラインヨガ」も人気です。食材が届けて、先生と一緒に料理を作る「オンライン料理教室」では、先生の講義を見るだけで一緒に作ってくれないという想定外の展開になったなど、簡単にはいかないことも見えてきます。

ここから「ワイナリーツアー」の話になります。大阪には7つのワイナリーがあり、大阪独自のワイン作りの継承、葡萄畑の継続、情報発信と交流を目的として、2012年に「大阪ワイナリー協会」が発足しました。そして、昨年まで5千人が集まる「おおさかワインフェス」もコロナで中止となり、葡萄畑で有名シェフの料理を食べて、ワインを楽しむ「ワイナリー見学ツアー」も中止となりました。そこで『お家で楽しむワイナリー見学ツアー』を始めることとしました。当初、そんなことしてどうするの…と言われるなか、口説き倒して、6月に開催する運びになりました。

ワイナリーツアーは通常ツアー以上に参加する前のワクワク感にこだわり、準備してゆきました。ワイナリーツアーを告知して、参加者には事前にワイン(3本)が届きます。オンラインだからこそ、アナログ感が重要になるため、参加のルールなどを手書きの手紙を添えてワインに同封しました。ちょっとした演出が大切です。

ツアー1時間15分お酒を飲むこと考えて、長すぎない時間配分です。
オンラインですが、リアル感な双方向がポイントなので、私自身がスマホで撮影をしながら、ワイナリーを案内してもらいます。最後はパソコンでワイナリーさんとワインを飲みながらとじっくり話をします。高井社長とは10年来のつながりなので、普段は聞くこともできないこぼれ話が飛び出すこともあり、一期一会のオンラインツアーとなりました。
2回目は、河内ワインも同様に盛り上がり、それぞれ違ったワイナリーの魅力が伝わったかと思います。
このツアーは、ツアーで楽しんでもらうことと同時に、ワイン販売にも繋がる一石二鳥のオンラインツアーです。続けるためにはPRで終わらずに、実際に商品を買ってもらい、経済を回すことが重要です。コロナ渦で売上が激減した、ワインのプロモーションであり、販売であり、ツアーであり、ファン作りだったと思っています。
ツアーが終了して、「また参加したい」とすぐに連絡をもらって、リピート率が8割にもなるという大盛況でした。そして「あの話を聞いたら飲みたくなった」とワインの販売も伸びたといいます。

オンラインツアーも、「人のつながり」を作り、森さん曰く「関係観光」を作り出すものだといいます。10年、ツアーをやって来て、全く違う盛り上がりを感じたといいます。
ただ主催者となる方へは、①パソコン・Wi-Fiなど環境(イレギュラーにも対応)、②時間・スケジュール管理、③ファシリテーション力、④一方的発信になっていないか、⑤参加者へのフォローなども必要と、ノウハウと言いますか注意もいただきました。

最後に、リアル→オンラインに変わるのではなく、「リアル観光+オンライン観光」が、『ニューノーマルツーリズム』を生み出すとの話で締めくくられました。