世界のオンライントラベル市場、次の大きな潮流は「アジア発」、スーパーアプリの時代到来へ【コラム】
(トラベルボイス 2019年1月19日)
https://www.travelvoice.jp/20190119-124091

WeChat Payなどモバイル決済がタビナカで急速に伸びているが、決済手段だけで見るのは間違いだ。
「極めて大きなユーザー数を抱え、配車、自転車シェア、ネット通販、そして航空券やホテルの予約と、1つのアプリで何でもできるスーパーアプリ」として、WeChat、LINE、KakaoTalk(韓国)の動きがあり、「観光でもアジア発のイノベーションが起きる」という。

【ポイント】
オンライントラベルの次の潮流は、アジアで生まれつつある。

大きな潮流は「Super Apps(スーパーアプリ)」「極めて大きなユーザー数を抱え、1つのアプリ内で何でもできるモバイルアプリ」の時代の到来です。
中国のWeChatは約7億人ものユーザーを抱えている。ユーザーはメッセージをやり取りするだけでなく、WeChat Payを使った決済、Uberのような配車、自転車シェア、ネット通販、映画チケット購入など多岐にわたるサービスが1つのアプリ内でできる巨大アプリです。

WeChatは旅行関連サービスもいち早く提供開始。サービス提供会社のTencent社の出資先でもあるOTA、LY.comなどのサービスを活用し、航空券やホテルなどの旅行予約サービスを中国国内で展開しています。WeChat内で航空券や宿泊の予約が数万を超えて生み出されている。

Facebookが運営するWhats AppおよびFacebook Messengerは、欧米中心に世界でそれぞれ10億人もの人が使っている。日本、タイ、台湾、インドネシアなどで大きなシェアを持つLINE、韓国で圧倒的なシェアを握るKakaoTalkがある。

「LINEとの提携によってLINEトラベルjpをLINEアプリ内にて開始した」
「Facebookは、WhatsAppにおいてはメッセージングアプリにて旅行関連も含めメッセージング機能以外のサービスを提供するつもりはない」との意向を明確に示した。
Facebookの考え方はLINEやWeChatなどのアジアのメッセージングアプリと極めて対照的です。

アジアでは、WeChat、LINE、KakaoTalkがメッセージングアプリ以外のサービスを立ち上げ、いわばメッセージングアプリがポータルアプリへと急スピードで姿を変え、社会のインフラ全体を担うような一大デジタルプラットフォームになろうとしています。

東南アジアのライドシェア市場で圧倒的なシェアを持つモバイルアプリGrabやインドネシア発のモバイルアプリGO-JEKも出現している。
配車サービスなど、交通分野で圧倒的なユーザー数を獲得し、フードデリバリー、決済、レストラン予約などのサービスを同じアプリの中で立ち上げている。
Uberもフードデリバリーも手がけているが、配車とフードデリバリーはそれぞれ個別のアプリで提供されており、「スーパーアプリ」の発想がない。

アジアでのスーパーアプリの台頭は、旅行観光分野における極めて重要な潮流となりつつある。
WeChat内における航空券や宿泊予約実績はその最たる例。さらに、WeChatのアプリ内で展開されているMini Programを活用し、観光局やDMOなどがWeChat内に公式ホームページを開設するといったデスティネーションマーケティングにもいち早く取り組んでいる。

LINEトラベルjpも、わずか5ヶ月でLINEアプリ内のフォロワー数が一気に900万人を超え、国内のトラベル関連企業が持つ公式アカウントにおける友達数で最大規模になりました。
韓国のKakaoも航空券が予約できるサービスを開始しました。

WeChat PayやLINE Payに代表されるモバイル決済機能はタビナカ分野を中心にこれまでに存在しなかったようなユニークなサービスを生む可能性がある。
グループチャット機能やユーザーのロケーション情報も今までできなかったような新しいサービスを生み出す可能性が高い。

スーパーアプリを通じて旅行・観光の世界でもいよいよアジア発のイノベーションが起きると考えるととてもワクワクします。