コロナ下の旅館・ホテルの現状 全旅連調査研究会が組合員にアンケート
(観光経済新聞 2020年10月15日)
https://www.kankokeizai.com/コロナ下の旅館・ホテルの現状%E3%80%80全旅連調査研究/

【ポイント】
旅館・ホテルの売り上げは、7、8月とも半数を超す施設において、前年同月の50%未満で、9月以降の予約も約7割が50%未満の状況となった。
GoToトラベルキャンペーンは9割が事業者登録済みであり、GoToトラベルへの期待が高いという。
GoToを利用した予約が50%以上の宿泊施設は48.4%、50%未満が48.3%とほぼ同数で、恩恵を受けたエリア、宿泊施設と受けていない所に2分化しているようだ。

【 概 要 】
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が、コロナ下の現状について、組合員旅館・ホテルにアンケート調査を行った。

■夏の宿泊実績
売り上げの前年対比は、7月は50%未満が55.3%、50%以上70%未満が20.7%、70%以上90%未満が13.0%となった。8月も50%未満が53.7%、50%以上70%未満が19.4%、70%以上90%未満が13.4%と、7月とほぼ変わらなかった。
7月の売り上げ状況を客室数別に見ると、50%未満は10室以上50室未満が48.8%、100室以上は68.4%に跳ね上がった。8月も10室以上50室未満が44.5%、100室以上が71.3%と、同様だった。
客室数が多いほど売り上げの対前年比が低い傾向になった。

■秋以降の宿泊予約状況
8月末時点の9~12月の予約状況は、前年同期比で50%未満が70.7%だった。

■雇用状況の変化
「一部従業員(アルバイトを含む)の休業を実施・予定」が41.0%、「変化なし」が27.3%、「全従業員(アルバイトを含む)の休業を実施・予定」が22.1%、「まだ決めていない」が6.1%、「一部従業員(アルバイトを含む)の解雇等を実施・予定」が2.6%。

雇用調整助成金は52.0%が「給付済み」で、以下、「活用の予定なし」が20.6%、「申請済み(未給付)」が14.5%、「活用に向けて検討中」が9.5%。活用の予定なしが中小規模で散見される。
申請手続きの煩雑さによる断念や、制度そのものの理解ができていない可能性もある。

■資金調達の状況
政府系金融機関による融資は46.2%、民間金融機関による融資は42.5%がそれぞれ既に活用。活用に向けての検討は政府系で18.4%、民間で17.6%が行っている。
新型コロナの持続化給付金は、78.9%が給付済みだが、9.4%が「活用の予定なし」と回答。
国税、地方税、厚生年金保険料などの猶予制度は、「猶予許可を取得済み」が22.6%にとどまる。「活用の予定なし」が45.2%と最も多く、「活用に向けて検討中」が26.6%と2番目に多かった。

■経営の状況
「現状の予約状況を(今後も)許容できる期間」は、「年内いっぱいくらい」が30.2%と最も多く、次に「不明」が29.6%。

■GoToトラベルキャンペーン
GoToトラベルキャンペーンで宿泊施設がOTAなどを通さず、顧客から直接予約を受けるには、キャンペーン事務局に事業者登録する必要がある。この登録を行っている施設は89.6%。登録の「申請済み(承認待ち)」が5.4%、「活用に向けて検討中」が1.1%。「活用の予定なし」は3.0%だった。
GoTo利用予約は、50%以上が48.4%、50%未満が48.3%と、ほぼ同数になった。「恩恵を受けたところ(エリア、宿泊施設)と受けていないところが2分化している。
GoToの利用割合を客室数別に見ると、50%以上は10室以上50室未満が57.6%なのに対し、100室以上は36.3%。宿泊単価の高いプレミアム系、高級旅館・ホテルの集客が好調となっている。
全国では、50%以上は東海が70.1%、北陸が60.0%と高い数字。感染者数の増加やビジネス需要の消失で大都市圏の集客実績が弱い結果となった。

調査は8月31日から9月17日までの18日間、全旅連組合員旅館・ホテル約1万5千軒を対象にウェブで実施。期限までに1046軒が回答した。