【データ】ポストコロナ時代における旅行の展望と優先事項についての調査 ブッキング・ドットコム調べ
(観光経済新聞 2021年4月15日)
https://www.kankokeizai.com/【データ】ポストコロナ時代における旅行の展望/

【ポイント】
旅行は「2020年に思うように旅行ができなかった分、2021年には行きたい」と56%が回答し、海外旅行は「ワクチン接種するまで行かない」と59%が回答している。
2021年の夏までには「ビーチに行くことができる」は世界の61%に対し、日本人は20%と、コロナ後はアクティブな旅行や都市部への旅行は避ける傾向にあるようだ。
「ワクチン接種証明が旅行の条件の場合は対応する」も45%あるようだ。

【 内 容 】
多種多様な宿泊施設や旅ナカ体験、旅行中のシームレスな移動手段を提供する世界最大級の宿泊予約サイトBooking.comの日本法人ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社(本社:東京都港区 以下:ブッキング・ドットコム)は、28ヶ国・2万人以上の旅行者*とパートナー施設を対象に実施した「今後の旅行の展望と優先事項」について調査結果を発表します。調査では、再び安全に旅ができるようになったとき(https://www.booking.com/covid-19.ja.html)、人々が旅行に対してどのような希望を抱いているのか、また旅行業界の回復に必要な支援についての考えが明らかになりました。

ワクチンの接種開始で再び旅行に前向きに
新型コロナウイルス感染症がまだ収束しておらず、不安な状況が続いている中でも、ワクチンの接種開始を受け、日本の旅行者の45%は「2021年は旅行が可能だと思う」と前向きな回答をしました。また、56%が、「2020年に思うように旅行ができなかった分、2021年にはより旅行に行きたい」と回答しており、移動が制限され、家や地元で過ごす時間が増えたことによって、より旅行への願望が増したと考えられます。

一方で、日本の旅行者の59%(55歳以上では69%)は「ワクチンを接種するまでは海外旅行に行かない」と回答しており、また32%は、「ワクチンの接種を実施している国にのみ旅行をする」と回答していることから、感染対策も非常に重要な項目の1つであることがわかりました。また、41%の日本旅行者が「ワクチンを接種しても海外旅行は不安」と回答していることから、今後の旅行、特に海外旅行においては、今まで以上に「安心」や「安全」が不可欠な要素であることがわかります。

ポストコロナの優先事項に「旅行」
日本の旅行者の45%は「メンタルヘルスに影響があった」、43%は「移動が制限され、閉じ込められているような気分になった」と回答しており、日本の旅行者の多くは、2020年に今までのように旅行ができなかったことが幸福度に大きく影響していると感じていることが判明しました。友人や家族ともあまり会うことができず、世の中の状況も不安定な中で移動の自由が制限されたことで、心理的にもネガティブな影響があったと考えられます。

そのため、新型コロナウイルス感染拡大以前と比べ、日本の旅行者の60%は旅行をより「重要だ」と感じており、71%もの旅行者が「2021年は恋人を見つけるよりも休暇に行きたい」と回答しています。また、日本の旅行者の77%は、「仕事やキャリア、昇進よりも旅行を優先する」と回答しており、旅行の優先順位が高まっていることがわかります。

外出自粛が続き、時間に余裕の出来た2020年には、旅行者の41%が「おうち時間を活用し、今後の旅行を計画した」と回答し、38%は有給休暇を活用して「2021年には長期休暇を予定している」と回答しました。2020年に旅行が出来なかった分、将来、安全に旅行ができるようになった日のために旅行を計画し、楽しみを創り出している方が多くいることが伺えます。
また、旅行先について、世界の旅行者の61%が「2021年の夏までにはビーチに行く(https://www.booking.com/beach/index.ja.html)ことができるようになると確信している」と回答している一方で、「安全」を重要視する日本の旅行者はわずか20%が「ビーチに行くことが可能だ」と考えているようです。また、日本の旅行者の24%は「再び安全に旅行ができるようになったら最初はビーチやスパでリラックスするような旅先を選ぶ」と回答し、目まぐるしく状況が変化した2020年はストレスを感じ、疲弊感を強く感じた方も多くなったこともあり、アクティブな旅行を希望している旅行者はわずか6%、同じく都市部への旅を検討しているも少なく、5%にとどまりまったことから、日本の旅行者は旅先に癒しを求めている傾向にあると考えられます。

旅行業界の回復に必須なのは「旅行者、政府、業界関係者の連携」
ブッキング・ドットコムは、旅行者が実際に再び安全に旅行を実現するためには、政府や旅行者、そしてトラベル・エコシステム全体が互いに協力しあうことが必要であると考えています。
新型コロナウイルス感染症が旅行業界に与えた影響を受け、日本の旅行者の91%は「旅行業界の回復には支援が必要である」と回答し、57%は「旅行業界が回復するには政府が施策を行う必要がある」、53%は「政府からの助成金なしには業界が存続することができない」と懸念しています。具体的には、「旅行前の新型コロナウイルス感染症検査を広域化する必要がある」と回答した旅行者が63%、「政府は旅行協会や提供者と連携し、より一貫した基準を設定する必要がある」と回答した旅行者が58%に上りました。再び安全に旅行が出来る日が来るのをただ待つだけでは旅行業界は回復出来ないものの、個人でできることも少ないため、政府の援助が必要だと考えている人が多いことがわかります。

パートナー施設も政府の支援を期待
調査に回答したブッキング・ドットコムのパートナー施設の70%は、「今後のビジネスについて慎重でありながらも前向きである」と答えた一方、「政府には旅行業界へのサポートを増やして欲しい」と回答しています。特に今後取り組むべき課題としては、「旅行や移動に関する勧告や、より一貫した国際基準の設定」、「迅速なワクチン接種体制の確立」、「旅行前の新型コロナウイルス検査の広域化」の3つがあげられ、迅速な対応が求められています。

また、宿泊施設の62%**は、「2021年には再び旅行への関心・需要が高まる」と予想しており、約70%は、旅行者が安全に旅行できるように「安全対策の強化と清掃手順の見直しを行った」と回答しています。
旅行者も同様に安全性を重視しており、45%は「旅行をする条件としてワクチン接種の証明が必要な場合にも対応する」と回答しています。加えて70%は「旅行時のマスクの着用義務を受け入れる」とし、安全を考慮して、54%は「2~6名までの小グループでのみ旅行したい」と答えています。

旅行業界の支援に関して、日本の旅行者の11%は旅行業界をより直接的に支援するため、旅行がキャンセルされた際、「返金を要求する代わりに、受け取ったポイントやクーポンを使用する」と回答しています。また31%はより地域活性化や日本全体の観光業復興のため、「旅行者の少ない目的地を選ぶ予定」だと回答し、18%は「個人経営の宿泊施設を選ぶ予定」、16%は「地域のビジネスを支援するため、地元の宿泊施設を予約したい」と回答しました。海外やビーチへの旅行を希望する人が多い中、日本の隠れた魅力を発見するべく、これまでとは違った基準で旅行先を選ぶ人も増えると考えられます。

ブッキング・ドットコムのシニア・バイスプレジデント兼CMO、アルヤン・ダイクは次のように述べています。
「ブッキング・ドットコムは、それほど遠くない未来に人々がまた旅に出て、世界を体験できるようになると信じています。長いトンネルの先に光が見え始めた今、誰もが再び安全に旅行ができるようになるよう、私たちは旅行業界に携わる各所と力を合わせてより良い未来のために取り組んでまいります。また再び旅行ができるようになった暁には、弊社の企業理念である『すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を』に基づき、人々が夢見る目的地や文化、体験をブッキング・ドットコムで見つけることができるよう尽力いたします。」

*調査はブッキング・ドットコムによって、今後12ヶ月の間に旅行を計画している成人を対象に行われたものです。28の国・地域の計2万8,042名の回答者(内訳:日本、ブラジル、中国、インド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、シンガポール、台湾、イギリス、アメリカ、ベトナムから各1,000名、カナダ、クロアチア、スウェーデンから各1,001名、オーストラリア、コロンビア、フランス、イスラエル、メキシコから各1,002名、アルゼンチン、デンマーク、ロシア、韓国、タイから各1,003名、香港から1,004名、ドイツ、スペインから1,005名)が対象となりました。調査は、オンラインアンケートで2021年1月に集計されたものです。

**調査はブッキング・ドットコムによって、ブッキングと提携している宿泊施設を対象に行われたものです。20の国・地域の計3,491名(内訳:日本79名、オーストラリア86名、ブラジル177名、中国12名、クロアチア212名、フランス395名、ドイツ296名、ギリシャ136名、インド109名、インドネシア69名、イタリア492名、メキシコ55名、ポーランド120名、ポルトガル96名、ロシア197名、スペイン353名、タイ65名、イギリス218名、アメリカ241名)の回答者が対象となりました。調査は、オンラインアンケートで2021年2月に集計されたものです。