世界の海外旅行者数で3つのシナリオ、最悪の場合は78%減、損失額は約120兆円に、国連世界観光機関が推計
(トラベルボイス 2020年5月11日)
https://www.travelvoice.jp/20200511-146110

国連世界観光機関(UNWTO)のシナリオによると、旅行制限が緩和されるのが、7月上旬からだと海外旅行者数は58%減、9月上旬からだと70%減、12月上旬からだと78%減で、8億5000万人から11億人が減少し、観光収入は約97兆円から約128兆円が損失するという。
いつ需要が回復するのか分からないが、海外旅行よりも国内旅行の回復が早いと見込まれている。

【ポイント】
国連世界観光機関(UNWTO)は、2020年通年の国際観光客数の見通しを、3つのシナリオで推計した。
2020年第1四半期の海外旅行者数は前年比で22%減少。3月は、多くの国で国境封鎖や旅行制限が実施され同57%減と大幅に落ち込んだ。これは、6700万人の旅行者、約800億ドル(約1兆5300億円)の観光収入が失われたことになる。

国境が段階的に開放され、7月上旬から旅行制限が緩和されるシナリオ1では、海外旅行者数は同58%減になると推計。9月上旬から旅行制限が緩和されるシナリオ2では同70%減。12月上旬から旅行制限が緩和されるシナリオ3では、同78%減にまで落ち込むと推計した。

この3つのシナリオに基づくと、8億5000万人から11億人の海外旅行者数が減少。観光収入では9100億ドル(約97兆円)から1兆2000億ドル(約128兆円)が損失するとした。また、観光業界では1億人から1億2000万人の直接雇用が失われる危険がある。

今後の需要回復の見通しは、海外旅行よりも国内旅行の回復が早いと見込まれ、2020年第4四半期までに回復の兆候が見られるとする専門家も多いが、大部分が2021年までかかるとの見立てだ。
出張需要よりもレジャー需要の方が回復が早く、特に友人や親類を訪問する旅行の戻りが早いと予測している。

地域別の海外旅行については、アメリカ大陸の専門家の間では楽観論は少なく、多くが2020年内には回復は見込めそうにないと見ている。一方、ヨーロッパとアジアの専門家の予測は分かれており、約半数の専門家が今年中には回復が見えると分析している。

※円換算は1ドル106円でトラベルボイス編集部が算出