世界の消費者トレンド予測2019、注目すべきトップ10は「原点回帰」「おひとりさま」など ―英ユーロモニター
(トラベルボイス 2019年1月17日)
https://www.travelvoice.jp/20190117-124648

2019年の消費者傾向を展望する予測」の英ユーロモニターのレポート。
意識高い消費者の台頭し、SNSの活況が続くなか、自らが情報を入手する傾向が強くなる。また「繋がらない喜び」が登場し、「おひとりさまライフスタイル」が広がるという。
食品、飲み物、化粧品の包装容器は、世界全体の63%がプラスティックを使用といい、2019年はさらにプラスチックごみ問題が顕在化する。

【ポイント】
国際的な市場調査会社、ユーロモニターインターナショナルの「2019年の消費者傾向を展望する予測レポート」を発表した。

1:年齢は関係ない(Age Agnostic)
「高齢」を理由に、人生に受け身になる必要はないと考えるエイジレス派が増えている。
シニア世代は所得に余裕がある消費者が多いので、別荘、高級時計、栄養サプリメント、美容ケアまで、富裕層向け商品やサービスが有望視されている。加えて「自らの消費行動を通じて社会をポジティブに変えたい(ベビーブーマー世代回答者の46%)」という能動的な姿勢も特徴だ。

2:原点回帰(Back to Basics for Status)
地元産のものしか食べない「ロカヴォア(locavore)」、ラグジュアリーとエコが融合した「グランピング」、クラフトビールや手作り化粧品「テロワール(土壌、土地の個性)」がキーワードとなっている。
地産地消は栄養面、地元への経済効果が大きく、環境負荷も低いという理由から世界的に支持が高まる。
旅行関連では、Airbnbが2016年から開始したエクスペリエンス事業も、定番ツアーとは違うエコ・トラベル体験や島の文化や食事を楽しんでもらう旅行が登場している。

3:意識高い消費者の台頭(Conscious Consumer)
自分の消費行動がもたらす結果まで考え、なるべく負のインパクトを環境や社会に与えない選択肢を求める。2018年は、先進国を中心に「アニマル・フレンドリー」の視点が拡大。食生活において、自分の健康だけでなく、食肉産業における動物への虐待を問題視し、動物製品を一切使用しない「ヴィーガン」が増えている。

4:デジタルで広がる輪(Digitally Together)
ソーシャルメディアは引き続き活況を呈し、ビデオチャットは、自宅でのくつろいだ雰囲気のまま、会話ができる製品が増えていく。カメラが会話している人を自動的に追いかけて映し出す機能や、一緒に歌ったり、子供に本を読み聞かせできるなど、より自然な形で交流できるところが支持されている。
米国で結婚したカップルの3分の1以上が、付き合いが始まるきっかけはデジタル交流となっている。

5:誰もがエキスパート(Everyone’s an Expert)
消費者同士が商品情報をシェアするようになり、品質や価格のアドバイスをやり取りする。売り手側は、商品の刷新や価格の見直しを迫られている。「クチコミ」の威力が増し、インフルエンサーに宣伝依頼が殺到。
アマゾンが支持される理由の一つは、消費者からのレビューが豊富だからで、一方的な価格設定や、透明性に欠ける対応をする売り手は長続きしない。

6:「つながらない喜び」の探求(Finding my JOMO)
「JOMO(Joy of Missing Out、つながらない喜び)」が求められている。
誰ともシェアしない時間を確保し、自分のリアルな生活を充実させることが重要になる。あえてWiFi接続不可としているカフェも登場している。
米国では2017年、紙の本の売上が5%増となる一方、電子書籍は17%減に。英国の書籍販売チェーン「ウォーターストーンズ」でも、2009年以来の黒字業績を達成した。

7:自分のやり方で解決する(I Can Look After Myself)
問題を解決するとき、広告宣伝、有名ブロガーの体験に頼るのではなく、自分で考え、本当に必要なものを見極めようとする。
英国の「スプーン・グル」は、ダイエット嗜好に合わせたレストランやレシピを探し出してくれるアプリ。カナダの「テルスペック」は、手のひらサイズのスキャナーで、食品にかざすと、含まれている栄養素を教えてくれる。

8:プラスティックごみとの決別(I Want a Plastic Free World)
食品、飲み物、化粧品の包装容器は、世界全体の63%がプラスティックを使用。リサイクル利用も進まず、西欧諸国のプラスティック廃棄物の大半は、中国に輸出されて再加工されていたが、2018年、中国政府が同取引を終了したのに伴い、リサイクルの必要性が高まっている。
IKEAでは、2020年までに石油系プラスティックを全廃し、リサイクル素材に替える方針を打ち出している。
ただし、医療、建設、交通などの分野では、重要な役割を果たしているプラスティック素材もある。「プラスティック」ではなく「プラスティックごみ」をゼロにするを目指すべきだ。

9:今すぐ欲しい!(I Want it Now!)
待ち時間ゼロ、行列や手間もなしで、効率的に提供してくれるサービスを求めている。
若年世代の銀行アプリ利用は3倍、ライドシェアは倍にのぼる。
2017年、中国の回答者の53.7%、インドの60%が、時間を節約するサービスであれば対価を払うと答えた。
米国にオープンした「アマゾンGo」は、コンビニエンスストアよりもさらに短時間で、並ばずに買い物できるサービスを打ち出した。最もよく売れているのは、ランチタイムの食べ物で、急いでいる人に好評だ。

10:おひとりさまライフスタイル(Loner Living)
世界全体で、おひとりさま世帯の増加率の上昇が予測されており、必要な商品も変わり始めている。
おひとりさま世帯は、有名ブランドへの関心は低く、個人的な嗜好へのこだわりが強い。「耐久性がある」「高品質」「トレンド」「ナチュラル」の関心も薄く、「便利」「お手頃価格」が好き。
アメリカ西海岸のおひとりさまは、ペットのケアに大金を投じるが、この傾向は香港でも顕著で、過去10年間でペット保有者は72%増。出生率の低下、晩婚化、高齢化社会などが要因だ。
「50歳以上の旅行者向けエアビーアンドビー」と称される「フリーバード・クラブ」は、貸し手も借り手も50歳以上。ホストとゲストが交流する場を用意することが必須条件になり、同世代の共通話題で盛り上がるという。

詳細レポート(日本語)は以下からダウンロードできる。
https://go.euromonitor.com/white-paper-Consumers-2019-Top10GCT2019JP.html