さらに膨らむ世界の航空業界の損失、2020年は12兆円の予測、回復に向かうのは2021年半ばか
(トラベルボイス 2020年11月26日)
https://www.travelvoice.jp/20201126-147605

【ポイント】
新型コロナによる世界の航空業界の影響は予想を大きく超えているようだ。
2020年の損失額は、1185億ドル(約12兆3000億円)に損失が増加し、2021年は、航空会社のコスト削減や、出発前検査の拡大やワクチンの普及が進み、第4四半期には改善に向かうものの、損失額は387億ドル(約4兆400億ドル)に拡大すると予測している。
2020年の旅客数は、前年比60.5%減の18億人。2021年には28億人まで回復すると見込んでいる。

【 内 要 】
国際航空運送協会(IATA)は、2020年と2021年の世界の航空業界における損失額予測を修正した。2020年の損失額は、今年6月に予測した843億ドル(約8兆8000億円)からさらに悪化し、1185億ドル(約12兆3000億円)に増加する見込み。
2021年については、航空会社のコスト削減や、出発前検査の拡大やワクチンの普及が進むことで第4四半期には改善に向かうものの、損失額は当初予測の158億ドル(約1兆6500億円)から387億ドル(約4兆400億ドル)に拡大すると予測している。

2020年の収入額は、2019年の8380億ドル(約87兆5000億円)から3280億ドル(約34兆2000億円)に落ち込む見込みで、そのなかで航空会社によるコスト削減額は計3650億ドル(約38兆1000億円)にのぼると見られている。旅客数は前年比60.5%減の18億人と、2003年レベルにまで落ち込むと予想。需要を表す旅客キロ(RPK)は同66%減。特に国際線では同75%減となり、国内線も中国やロシアで回復が見られるものの、最終的に同49%減になる見込み。それに伴い、旅客収入も2019年の3分の1以下の1910億ドル(約19兆9000億円)に落ち込むと見ている。

2021年については、年半ばまでに国境が開放されることを前提にすると、収入額は4590億ドル(約47兆9000億円)にまで回復するものの、2019年比では45%減と厳しい状況が続くと予想。旅客数については28億人にまで回復し、搭乗率も2020年の65.5%から72.7%(2019年は82.5%)に上昇すると見込んでいる。

地域別で見ると、アジア太平洋の損失額は2020年で317億ドル(約3兆3000億円)、2021年で75億ドル(約7800億円)と予想。最も損失額が大きいのは、2020年が北米で458億ドル(約4兆7000億円)、2021年がヨーロッパで119億ドル(約1兆2000億円)になる見込み。