中国では1億5000万人が国内観光旅行へ、韓国との入国規制緩和「ファストトラック制度」も進む
(やまとごころ 2020年5月14日)
https://www.yamatogokoro.jp/column/corona_world/38405/

中国のメーデー連休に1億1500万人が国内観光に出掛け、野外活動などに人気があるという。
「日本に旅行したい」中国人が95.5%というペイサー(株)の調査結果もあるが、旅行スタイルはこれまでと異なってきており、それらのニーズを取り込まなければならない。
PCR検査などで陰性を条件に入国を認める「ファストトラック制度」も始まっており、互いが安全だと認めあった国同士での渡航「トラベル・バブル」「トラベル・コリドー」なども始まっている。
緊急事態宣言が解除されたなか、「日本が何故、安全なのか」「どのような対策をとるのか」を世界に向けて分かりやすいPRも真剣に検討してほしいものだ。

【ポイント】
新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだ中国は、観光地の約70%が再開し、多くの人が国内旅行へと出掛けおり、回復の兆しがあるという。
5月1日から5日のメーデー連休には、1億1500万人が国内観光に出掛け、475億6000万元(約7175億730万円)の観光収益をもたらしたことを、中国最大のOTAのTrip.comが明らかにした。
訪問先としての人気は、成都、三亜、上海の3カ所。
人気の高いアクティビティは、ハイキング、アウトドア旅行、キャンプなど、野外活動のものだった。
車で移動した人が旅行者の60%以上で、レンタカー利用者は昨年と比較して10%増加した。
中国では現在、旅行を予約する際、完全に返金可能な予約であること、混雑を回避するルートの提案、医療体制などが求められるという。
Trip.com Groupの会長は「コロナ以前と同じスタイルでの回復を期待するのではなく、ニーズを理解した上で、より良い商品を提供し、スピーディーに取り組んでいくことが必要だ」とコメントした。

中国では、海外からの入国者に対して、指定施設で14日間の隔離措置を求めているが、ビジネス目的で訪れる韓国人の入国を、PCR検査などで陰性を条件に入国を認める「ファストトラック制度」を5月1日から開始した。
出発の72時間以内に韓国の指定医療機関で検査を受けた際の陰性確認証が必要とされる。中国に到着後にも再度PCRなどの検査を受け、再び陰性と判断されれば入国が認められる。
中国入国の際にこの制度が適用されるのは、韓中の交流が多い上海市、天津市、重慶市、遼寧省、山東省、江蘇省、広東省、陝西省、四川省、安徽省。
中国は、シンガポールなどともファストトラック制度導入を検討していると発表。
日本国内での新規感染者の減少などを条件に日本政府にも入国制限緩和を打診している。ただし、日本側は国内において緊急事態宣言が続き、全世界への渡航に関して「不要不急の渡航を求める」レベル2としていることなどから、海外への出国制限を緩和するのは時期尚早としている。
国内での感染拡大が押さえられる中、感染に対し、いかに個々人や企業が対応しており、安全・安心な国かを海外にアピールすることも、日本が世界各国と往来を正常化させる上でも重要となる。

中国東北部 吉林省の吉林市で先週以降、新型コロナウイルスの感染者が20人以上確認されており、地元当局は、市外への移動制限などの措置をとり、感染が再び拡大することに警戒を強めている。
感染第2波の懸念は、今月6日に制限が緩和され、通常の生活に戻りつつある韓国でも発生している。
ソウルでは、ナイトクラブを訪れた客を中心に新型コロナウイルスの集団感染が発生し、これまでに119人の感染が確認された。

新型コロナが収束し、互いが安全だと認めあった国同士での渡航について、「トラベル・バブル」「トラベル・コリドー(小道)」と新しい言葉で呼ばれている。
オーストラリアとニュージーランドは、両国間にトラベル・バブルを結ぶことを約束しているが、スタート時期は未定となっている。
ヨーロッパではバルト3国のエストニア、ラトビア、リトアニアが、5月15日から互いの国境を開く予定。オーストリアとドイツは、6月15日に国境を完全に再開する予定となっている。特にドイツからの訪問者に大きく依存しているオーストリアの観光産業の助けになるとみられている。
アジアでは、ベトナムとタイの間で、トラベル・バブルが作られる可能性があるという。