交通空白の解消へ、「観光の足」で鉄道、空港、港湾など149か所に課題、22か所でライドシェア導入の先行対応
(トラベルボイス 2024年9月10日)
https://www.travelvoice.jp/20240910-156302

【ホッシーのつぶやき】
交通空白を解消する「ライドシェア」など地域に応じた対策が急速に進んでいる。
契機のドライバー不足も大きいが、これほど早い進展に驚く。路線バス廃止など地域居住者の足への対応も重要だが、観光客の足として交通空白地帯をなくすことも重要だ。そのためには利用者を増やす取り組みも重要だろう。
まずは着実に進められることを願いたい。

【 内 容 】

国土交通省は、「交通空白」解消本部の第2回会合を開催し、地域や観光の足の確保に向けてライドシェアの取り組みに関するこれまでの状況を報告した。この本部は、全国各地で地域住民や来訪者が交通機関を使うことができない「交通空白」を早急に解消していくために設置されたもの。会合で示された現状と今後をまとめた。

「地域の足」対策としては、全国の自治体で、タクシー、乗合タクシー、日本版ライドシェアや自治体が提供する公共ライドシェアなどを地域住民が利用できる状態を目指す。また、「観光の足」対策としては、主要駅や空港など「主要交通結節点」でタクシーなどを来訪者が利用できる状態を目指す。

そのうえで、輸送手段を確保することが困難な場合、公共ライドシェア、日本版ライドシェアの普及・拡大を目指す。

これまで、「地域の足」対策としては、地方運輸局長などが交通空白地帯とされている全国各自治体の首長などに対して集中的な働きかけをおこない、タクシー事業者などとの橋渡しを実施。その結果、136の自治体において空白解消の取り組みを新たに実施することが決定した。そのうち、「公共ライドシェア」および「日本版ライドシェア」の導入を決めたのは83自治体。乗合タクシー、AIオンデマンドなどの導入・拡充を決定したのは53自治体だった。全体として、交通空白といわれる自治体が2024年5月時点の624から324まで減少した。

一方、「観光の足」では、鉄道駅、空港、港湾などの主要な交通結節点約700箇所のうち149箇所で「交通空白」に課題があることが判明。そのうち、58箇所の鉄道駅、空港などで先行対応を行った。内訳は、日本版/公共ライドシェアの導入が22箇所、乗合タクシーなどの導入やタクシーの利用改善が18箇所、鉄道事業者、航空会社、観光事業者などによる二次交通サービス導入が18箇所。

また、国土交通省は、自治体・交通事業者などとさまざまな技術・サービスを持つ企業群との幅広い連携を図るため「交通空白解消・官民連携プラットフォーム(仮称)」を年内をめどに設置する方針を示した。このプラットフォームでは、課題とそのソリューションのマッチング、空白解消に向けたパイロットプロジェクト、意見交換・セミナーなどに取り組む。

日本版ライドシェア、雨天や酷暑対応で供給車両拡充
会合では、日本版ライドシェアのバーションアップに向けた第1弾の取りまとめも報告された。

まず、雨天時では移動需要が大きくなるため、一定の降水量(1時間5ミリ以上の降水量)が予報される時間帯及びその前後に、また、夏季では酷暑(気温が35℃以上)が予報される時間帯及びその前後にそれぞれ供給車両数を拡充する。

雨天時対応については6月28日から、酷暑時対応については8月2日より順次開始し、8月末までの間に合計6000回以上稼働した。

さらに、イベントなど一時的な移動需要の増加に対応し、タクシーの営業区域外旅客運送制度の活用促進及び日本版ライドシェアの供給拡充を実施する。

大都市部以外の地域における供給車両数・時間帯の拡充では、日本版ライドシェアをおこなうタクシー事業者からの申し出で、曜日・時間帯の拡大するほか、供給車両数を現在の原則タクシー台数の5%を10%まで拡大する。

このほか、配車アプリが普及していない地域でも、電話や現金支払いでも利用可能とすることにより、地方部での普及を促進する。また、アプリによる配車依頼に対してマッチングが成立した率(マッチング率)について、現在は配車アプリごとに算定方法が異なっているが、年内を目途に、利用者の実感を考慮した合理的な算定方法に統一する。

「ドライバーシェア推進協議会」を設置
国土交通省は、事業者による適切な安全管理のもと、不足するドライバーを確保することができる柔軟な仕組みの構築に向けて、「ドライバーシェア推進協議会」を設置。タクシーや宅配事業でのドライバー不足の解決に向けて議論を進めていく。

過疎地域におけるタクシー不足、 郊外地域におけるタクシー需要低下時間帯の存在、 都市部における宅配の高い再配達率などを課題として、複数地域における移動・宅配の需要及びドライバーの供給可能性について検討していく。

今後、法令・制度上の課題・論点の整理したうえで、ドライバーシェア方策を検討し、実証実験を実施。その結果を検証し、ドライバーシェアの方策で具体化を進めていく方針だ。