「隠れスポットに分散」外国人の急増で京都観光地図に異変あり 日本人観光客が15%減少
(産経新聞 2025年2月20日)
https://www.sankei.com/article/20250220-DB3YFVEW5JJA5HV6FMXEKBSU7U/
【ホッシーのつぶやき】
伏見稲荷エリアは外国人客が前年比46%増で日本人客は23%減、「北野天満宮エリア」も外国人客が42%増に対し日本人客は42%減という。一方で周辺観光地の日本人客は増加しており分散観光が進み、「京北エリア」では59%増、「伏見」29%増、「山科」25%増、「西京」23%増という。
これを分散観光といえるかは疑問だが、日本人が混雑観光地を避ける傾向は顕著だ。外国人も混雑観光地を避ける傾向が出ており、この傾向が続きそうだ。
【 内 容 】

国内外から訪れた観光客でごった返す世界遺産・清水寺の周辺=昨年12月、京都市東山区(荻野好古撮影)
観光客の急増によるオーバーツーリズム(観光公害)が課題となっている京都市で、伏見稲荷大社など主要観光地周辺を昨秋訪れた外国人客が前年同期に比べ約30%増えた一方、日本人客は15%ほど減少したことが市の調査で分かった。ただ、主要観光地以外では日本人客が増加したとのデータもあり、市は「観光分散化の取り組みの成果といえる」としている。
市では観光課題対策の一環として、令和6年11月1日~12月15日に市内主要観光地周辺を訪れた人数を、匿名処理された携帯電話の位置情報データなどで集計し、5年11月3日~12月17日のデータと比較した。日本人客はKDDIが保有するデータを、外国人客についてはスマートフォンアプリからの収集データを、それぞれ参照した。

まとめによると、「伏見稲荷エリア」では外国人客が前年同期比46%増となった一方、日本人客は23%減少。「北野天満宮エリア」も外国人客が42%増に対し、日本人客は42%減だった。ほかに「錦市場エリア」などで外国人客が大幅な増加傾向だったのに対し、日本人客は減少傾向となった。
一方、市は周辺観光地で進めた「分散観光」の現状も検証。日本人客のデータしか得られていないが、市北西部の「京北エリア」では前年同期比59%増えた。「伏見」「山科」「西京」の各周辺エリアでも2割以上の増加となり、日本人客の増加が目立つ結果となった。
市観光MICE推進室の担当者は「あくまでも位置情報で、詳細な統計ではない」としながらも、観光客の傾向として「日本人客が中心部で減り、周辺で増えていることは認められる」と説明。日本人客のリピーターが定番のスポットではなく、周辺の「隠れスポット」を訪れるようになった可能性を指摘し、今後も分散化の取り組みを進めるとした。(荻野好古)
オーバーツーリズム軽減に「AIの力を」研究会設立
全国で課題となっているオーバーツーリズムを、人工知能(AI)の力で軽減しようとする動きがある。昨年、AI研究の国内第一人者が中心となって研究会が立ち上がり、人流などのデータの収集・分析をスタート。産官学で連携しながら研究し、次なる一手を模索するとしている。
元人工知能学会会長で、京都橘大の松原仁教授(人工知能)が主査を務める「オーバーツーリズム研究会」。松原氏は昨年4月に同教授に就任後、京都での観光公害の深刻さを目の当たりにし、問題の軽減にAIを生かせないかと考え、研究会を設立した。
昨年9月に第1回の会合を京都橘大で開き、AIやデータサイエンスなどの研究者に加え、観光庁の担当者らも参加。観光公害を巡るそれぞれの現状を報告するとともに、主要観光地を訪れる人の数や、巡回する順番などについてのデータ収集も始まった。
「AIと人間が考えることに大きな違いはない」と松原氏。「観光客を明確に『班』に分けることはできないが、右回りと左回りの班に分けることができれば、(混在の)ピークはずらせる」とし、「雨の日、猛暑の日はどんな影響が出るのか。そうした大量のデータ分析が得意なのがAIだ」と言い切る。状況に応じたバスの本数増減などもAIでシミュレーションできるという。
今月20日には北海道で第2回会合を開き、京都と札幌の観光課題の比較検討なども視野に進めることになった。松原氏は「オーバーツーリズム解決はデータが勝負。AIを使って分析し、効率的なバスの本数を提示するなど、観光への実用化を目指したい」と話す。(堀口明里)