『正直者はバカをみない』 著者:石積忠夫(リード エグジビジョン ジャパン社長)(2007年12月初版)を読んだ。
著者は、国際見本市を運営してこられたので知見に満ちた本である。また、国際見本市は行政や業界団体で運営されることが多かったが、著者は国際見本市を企業の立場で運営されている。
 
国際見本市は、世界中でますます盛んに開催されており、その数も増え続け、見本市会場の建設が相次いでいるという。一方、日本の見本市はほとんど発展がなく、世界との格差は広がるばかりであるらしい。「見本市ある所、経済発展あり」、これは過去半世紀、世界中で起きてきたことであると述べられている。
 
戦後のドイツは、巨大な見本市会場を建設し、次々と国際見本市を開催することにより、人、製品、情報がドイツに集まるようになり、今日の経済発展を招いたという。
 
日本の見本市会場は、東京ビッグサイト8万㎡。千葉の幕張メッセ7万5千㎡。大阪のインテックス大阪7万3千㎡とほぼ同規模である。方や、世界の見本市会場は、ドイツの中核都市ハノーバーに50万㎡の会場あり、10万㎡以上の会場がドイツには9あり、世界に43もあるという。東京ビッグサイトで世界の70位に過ぎない。
ドイツの総展示場面積は270万㎡あり、日本は50万㎡である。ドイツのハノーバーの50万㎡の会場では、毎年6000社出店する巨大見本市が14本も開催されるという。
中国の台頭も目覚ましく、10万㎡以上の会場が3、総面積は280万㎡あり、2010年、上海に20万㎡の会場が登場する。(2007年の本)
見本市会場規模最大のアメリカは、総面積700万㎡。そこで年間5千本の見本市が開催されるという。日本は5百本にすぎない。またラスベガスは、日本人にとってカジノのまちとの印象が強いが、世界有数の見本市都市(コンベンションシティ)でもある。
 
この本は、『今すぐ世界と競争できる見本市会場を建設すべし』が趣旨である。
一つの国際見本市の開催で数百億円の経済効果があるという。そして“人”“金”“情報”が集積する場だという。このような場が日本に無いため、シンガポールや中国に国際見本市が流出している。だから見本市会場を早急に建設すべきだと述べておられる。
 
http://www.amazon.co.jp/正直者はバカをみない―日本一の見本市ビジネスをつくった男の成功哲学-石積-忠夫/dp/4478002835