【データ】地方移住に関する調査結果
(観光経済新聞 2022年3月30日)
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【ホッシーのつぶやき】
地方への移住の意向は今も高いようです。従来、移住するには転職が伴うと考えられましたが、今は《転職なき移住》が53%を占め、現在働いている企業が「在宅勤務」や「遠隔地居住」を認める人ほど高いといいます。
「日常的な買い物で不便がない」「医療体制が整っている」が条件のようです。

【 内 容 】
株式会社パーソル総合研究所は、有職者の地方移住に関する調査結果を発表いたします。本調査は、コロナ禍によるテレワーク普及などを背景に地方圏への移住(※1)の関心が高まる中、地方移住の経験者および意向者の実態や、移住に対する意思決定の要因について定量的なデータ・知見を提供することにより、経営・人事、自治体、働く個人に資することを目的に実施しました。

※1 本調査における「移住」「地方圏」とは
・「移住」とは、自らが何らかの意思を持って、主たる生活拠点を別の地域に移すことと定義し、会社都合の転勤およびバカンスなどの行楽的滞在は除くこととした。一方で、2拠点居住やノマドワーカーなどについては、「多拠点居住」として統合し調査・分析の対象とした。
・「地方圏」とは、移住意向者・無関心者の移住検討先の地域より、東京23 区、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、大阪市、京都市、神戸市を除く、国内の市町村とした。

• 調査結果概要
① 実際に多い移住のタイプ
社会人になって以降、自身の意向で、都道府県をまたぐ地方圏への移住をしたことがある移住経験者(N=7,866)のうち、最も経験者の多い移住タイプは、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」で38.6%であった。次いで、故郷の市町村に移住する「Uターン型」が20.2%、主たる生活拠点を持ちつつ他の地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」が3番目に多く17.3%となった。

(※2)本調査における移住タイプ
*分類は、一般社団法人 移住・交流推進機構の定義を一部援用した。https://www.iju-join.jp/feature_cont/guide/003/02.html

③  移住後の生活に対する幸せの評価
移住経験者に、移住後の地域における暮らしについて、「その地域に住むこと自体に幸せを感じているか」を5段階で評価してもらったところ、「Uターン型」や「配偶者地縁型」は評価が高く、「Jターン型」「Iターン型」「多拠点居住型」は評価が低い傾向が見られた。Uターン型や配偶者地縁型は、その他の移住タイプに比べ、移住後の地域における情報や人脈を持っている場合が多い。そのため、リアリティショックや孤立などのリスクが低いことが影響していると考えられる。
※3 5段階(とてもそう思う~全くそう思わない)で評価

④ 希望する人が多い移住タイプ
今後の移住を検討中である移住意向者(N=2,998)のうち、最も多く検討されている移住タイプは、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」で56.7%。次いで、主たる生活拠点を持ちつつ他の地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」が40.1%となった。

⑤  移住意向者の検討段階とテレワークの関係
移住意向者(※4)のうち、現在働いている企業において、テレワーク等により「在宅勤務」や「遠隔地居住」の働き方が可能な状況にある人ほど、近い将来の計画として移住を具体的に検討している。

※4 移住意向者=「5年以内で計画」「10年以内で計画」「時期未定」の3層。「無関心者」は比較参考。

⑥ 移住意向者の検討状況
移住意向者のうち51.3%は、何らかの不安があり移住に踏み切れないでいる。

⑦  移住意向者の移住時減収の許容幅
移住意向者に、移住時の減収について許容できる減収幅を聞いたところ、20代では46.7%が「減収は考えられない」と回答した。また、年代を経るごとに減収を許容する傾向も確認された。

⑧  移住意向者の移住検討に影響する項目
移住意向者に対し、移住検討時に影響する項目を聞くと、1位は「地域での日常的な買い物などで不便がない」、2位は「地域の医療体制が整っている」となった。また、3位・4位には「街並みの雰囲気」や「穏やかな暮らしの実現」といった曖昧で主観的な項目が挙がった。移住に際しては、生活上必要な具体的条件(生活基盤の担保)だけでなく、移住候補地に対してポジティブな印象や期待感を抱けるといった情緒的な側面も重視されているようだ。

人はどのようなことに影響されて「移住」という選択を行うのだろうか。移住に際する意思決定に影響する多様な要因について、本調査では、移住のタイプ別に異なるもの、共通するものがそれぞれ明らかになった。

また本調査では、その地域に住んでいることに幸せを感じる度合い(地域生活の幸せ実感)には、住居の快適さや、家族・友人、職場の人間関係といった人的なつながりと共に、「その地域への愛着(地域愛着)」がより影響することが分かった。