実践解説!【武道ツーリズム最前線|剣道の事例】
(Enjoy!! 2021年1月24日)
https://kendopark.jp/kenjoy/budo-tourism-kendo?fbclid=IwAR3mauxINxfsGNdk3sYOzYqMhOVl2Qe_wRjTR-0BFi8OmwG5VXccM2W3G9o

【ポイント】
スポーツ庁は2018年3月より「武道ツーリズム」の本格推進している。
外国人向け剣道体験ツアー「SAMURAI TRIP」では、「剣道体験」を2017年1月より開始しており、東京・大阪・横浜・京都・札幌・福岡で、年間約2,000名の外国人観光客を受入し、サービス開始以来300回以上催行し、3,000名超えの訪日旅行者が来場しているという。
我が家に20年前に来たアメリカ人は、アメリカで「コテンドウ」を教えており、「合気道」を学びたいと言われたので、大阪市内の道場にお連れした。
「武道体験」も、ホンモノ体験からアトラクション体験まで幅が広い。

【 内 容 】
訪日外国人(=インバウンド需要)が急増する中、スポーツ庁は2018年3月より「武道ツーリズム」の本格推進を開始いたしました。
一方政府の「掛け声」が先行するばかりで、実際の成功事例を目にする機会はなかなかありません。
実際に剣道で「武道ツーリズム」を行なっている現場から、リアルな実態から議論の問題点までまとめました。
(取材協力:外国人向け剣道体験ツアー【SAMURAI TRIP】)
https://www.samuraitrip07.com

2017年1月にサービス本格開始。
・剣道体験
・剣道具製作工房見学
・剣道レストランでの和食体験
の3アクティビティを揃える。
東京・大阪・横浜・京都・札幌・福岡の全国主要都市で、年間約2,000名の外国人観光客を受入。
サービス開始以来、催行回数300回以上、累計3,000名を超えるゲスト(=旅行者)が来場。
スポーツ庁・外務省主宰のスポーツ海外貢献事業「Sport for Tomorrow」認定事業。
第7回スポーツ振興賞「観光庁長官賞」受賞。
スポーツ文化ツーリズムアワード2019「スポーツ文化ツーリズム賞」受賞。
メディア掲載多数。
サービス開始以来、KENDO PARKより使用用具を提供中。
(2019年現在)

|「オリンピック」は無関係
「武道ツーリズム」を理解する前に、訪日外国人、いわゆる「インバウンド」について理解しておく必要があります。
2018年に、訪日外国人数が史上初めて3,000万人を超えました。
2015年の時点で、政府は2020年の訪日外国人数4,000万人を目標に掲げていますが、あれよあれよと達成しそうな勢いです。
実際数年前と比べると、明らかに街を歩く外国人も増えたと感じられます。
観光地として知名度のある東京や京都だけでなく、最近では箱根、金沢、広島といった地方都市にも外国人の姿を数多く見かけます。
ではなぜ訪日外国人は、ここ数年で急増しているのでしょうか?
マスコミの報道や政府の発表を見ていると、「2020年の東京オリンピックまでは外国人は増えるでしょう」とよく聞きますが、果たして本当なのでしょうか?
オリンピックは、実質2週間程度のイベントです。
例えば、「平昌オリンピックの数年前から、平昌に外国人が押し寄せた」という話も聞いたことがありません。
実は、本質的には「オリンピック」は関係ありません。
(もちろん下見や合宿、期間中に来日する方は一定数いらっしゃいますが)
ではなぜ、訪日外国人数は増えているのでしょうか?

円安による物価安
かつて日本人がヨーロッパやアメリカへ行って、ブランド品を買い漁ったことと逆の現象と言えば分かりやすいでしょうか。
数年前までは円高であったため、「ブランド品を海外で安く購入して、日本に帰って高く転売する」というようなことも可能でした。
しかし現在、日本円が円安となったことで、日本は外国から見ると「先進国で圧倒的に物価が安い国」という位置付けです。
分かりやすい例として、世界のディズニーランドのチケット料金を比較すると、東京ディズニーランドはパリに次いで世界で2番目にチケット料金が安いと言われています。(2017年時点・110円/ドル換算)
つまり、数ある渡航先の中で「先進国の中でも安く行ける」のが、日本が渡航先として選ばれている要因の一つと言えるでしょう。

ビザの緩和
政府はここ数年にわたって、日本滞在におけるビザ発給要件を続々と緩和しています。
特に2015年から、中国向けのビザを毎年のように緩和したことで、中国人の訪日客数が爆発的に伸びました。
結果として、2017年には韓国を抜いて中国が訪日外国人シェア1位となりました。(シェア約25%)
訪日外国人のシェアでは、中国と韓国の2国合計で約50%を占めます。
日中関係と日韓関係は、良かったり悪かったりを繰り返していますが、常に日本経済の「上客」であることは間違いなさそうです。

「JAPAN」コンテンツの拡散
「Cool Japan」という言葉をよく目にします。
日本の優れた文化やコンテンツを世界に発信しようということで、そういったコンテンツの総称として定着した言葉といえるでしょう。
実際、日本の「SAMURAI」や「NINJA」、「MANGA」といったコンテンツは、世界中で強烈な勢いで拡散されています。
それは近年のSNSの普及と、島国独特の文化という側面が大きいでしょう。
分かりやすい例でいうと、地獄谷温泉(@長野県)のニホンザルでしょう。
欧米を中心に「Snow Monkey」という名で有名となり、山あいの難所にある観光地でありながら、外国人観光客が殺到しています。
地獄谷温泉が有名になったのは、アメリカの雑誌メディア「ナショナルジオグラフィック」に写真が掲載されたことが発端といわれています。
「雪が降る中、サルが温泉に浸かる」という日本ならではの光景が、大陸文化からの連続性がない独特のものに映ったことが、注目を浴びた理由でしょう。
加えてこの写真がSNSで拡散し、それを見た人が実際に温泉を訪問し、さらにそれを拡散するといった2次3次拡散が起きたことが要因といわれています。
このように、先進国でありながら島国特有の文化を持ち、それがSNSで拡散されたことも、訪日客急増の大きな要因の一つといえるでしょう。