円安で爆買い復活!外国人旅行者が日本で買っている意外なもの
(Yahooニュース 2022年10月21日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/05871a845542ddadd62878c2f727c6cfeb4ac519?page=1

【ホッシーのつぶやき】
10月11日から外国人旅行者の入国制限が緩和されるなか、円安により円は米ドルに対して約4割下落。台湾ドルも3割超、韓国ウォンも1割超安くなり、買い物しやすい環境が生まれている。
コロナ前は、「菓子類」「化粧品」「医薬品」が上位でしたが、今は「日本酒」「日本茶」なども上位に入っており、訪日したチャンスに購入するパターンは日本人の海外旅行に似ているようだ。

【 内 容 】
 10月11日から外国人旅行者の入国制限が緩和され、個人旅行も解禁された。さっそく有名観光地では“安い円”を追い風に海外からの爆買いツアーが復活している。全国旅行支援のクーポンでつつましく食事する日本人旅行者との差は異様だが、岸田首相は訪日外国人のインバウンド
消費を5兆円超に増やしたい意向。外国人は日本で何を買っているのか?

外国人観光客には難儀 水際対策緩和後も残る複雑ルールが“日本敬遠”の理由に

 30年前、東南アジア観光に行った日本人は「安い、安い」を連呼していた。時代は変わり、今や香港やインドネシアから来た外国人旅行者が「日本は安い」と口にする立場に。円安を武器に
ナイキ、アディダス、iPhoneといった海外製品も日本で購入している。

 観光庁によると、日本への入国希望者(9月21日時点)の上位5カ国は韓国、タイ、米国、マレーシア、豪州。世間では米ドルの独歩高といわれているが、どの国の通貨も日本円と比べればまだマシ。買い物を兼ねて日本に旅行でやって来る理由もそれだ。

 実際、コロナ前の2019年10月と今年10月の為替レートを比較してみると、日本円は米ドルに対して約4割の下落。人民元と台湾ドルについても3割超、韓国ウォンも1割超安くなっている。

■好景気の台湾からの旅行客が増える

 特に台湾は、コロナの3年間で経済が大きく飛躍。台湾財政部が発表した2021年の貿易額は、輸出が前年比29.4%増の4464億4785万米ドル(約66兆円)、輸入が33.2%増の3811億6672万米ドル(約56.4兆円)で、いずれも過去最高額。米アップルのiPhoneに搭載する半導体などが好調で、国別輸出では中国向けが22.9%、香港向けが28.7%、日本向けも24.8%の伸びとなった。日本との貿易に関しては輸出292億米ドルに対し、輸入が561億米ドルの輸入超過。日本側から見れば、たくさんのものを買ってくれるお得意さんで、好景気に乗って訪日客の増加にも期待が持てる。

 その台湾は、今月13日に入境時の自宅隔離を撤廃したばかり。これから日本へ旅行にやって来る人が確実に増えてくる。台湾の人たちは元から親日家が多く、訪日する人の数も2019年実績で中国(959万人)、韓国(558万人)に次いで第3位(489万人)だった。台湾の人口が2340万人(2021年12月末)であることを考慮すれば、訪日率は20.9%と高く、日常的に日本へ来ていることが分かる。

意外な人気の「日本酒」「日本茶」

東京・浅草の土産物店で品定めをするドイツ人観光客(C)共同通信社

 中国からの訪日客がすぐには期待できない今、インバウンド消費を期待するなら真っ先に絶好調の台湾の名前が挙がる。
 では、その台湾人たちは、日本の何が好きなのか? 台湾人・香港人向け日本観光情報サイトを運営する「楽吃購(ラーチーゴー)!」の担当者がこう言う。

「台湾人約5000人を対象に日本の食品や農林水産品に関するアンケートを行いました。訪日客にも人気な『お菓子』『乳製品』『果物』が上位に来ることはある程度予想していましたが、上位に意外なものがランクインしました」

 人気の1位は訪日する外国人が最も購入する「お菓子」だったが、2位は「日本酒」、3位が「日本茶」という意外な結果だった。
「現地での販売価格が高い『日本酒』、元来、台湾に伝統的な文化がある『お茶』というのは予想外でした。台湾の方は中国人と比べて大酒飲みという人は少ないのですが、日本酒の人気というのは高まっています。年収別に見ると、高所得になるにつれ、日本酒や和牛、果物への興味が高まる傾向にありました。一方、アンケートの対象外ですが、香港の人は日本酒のほかは、シャインマスカットなど高級フルーツを好まれる傾向があります」(前出の担当者)

 台湾への日本酒の輸出額は2018年で13.5億円と少ないが、19年に食品関係15品目の関税が引き下げられ、40%が20%に半分に引き下げられた。台湾の高級スーパーで主に贈答用として販売されていた日本酒が、これによって売り上げを伸ばすきっかけになりそうだ。

 他のアジア諸国の観光客はどうなのか。観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2019年)によると、訪日韓国人が購入した品目の1位は「菓子類」、2位「その他食料品・飲料・たばこ」、3位「医薬品」。同様に中国人は「化粧品・香水」「菓子類」「医薬品」の順。タイ人は「菓子類」「化粧品・香水」「衣類」となっている。電化製品が人気薄なのは少し残念だが、今後は単価の高い商品にも興味を持ってもらえるに違いない。

■北海道は「米とふりかけ」をセットで売り込み

 シンガポールやタイ、台湾、香港向けに、地場産品を売り込んでいる北海道庁担当者がこう言う。
「札幌市との共同で『リベンジ消費拡大』に向けた事業を行っています。北海道はアジアからの観光客も多く、乳製品、米、魚介などの道産品が売れ筋。ただし、1次産品だけでは今後の国内の人口減少社会は乗り切れませんので、米と一緒に『ふりかけ』といった日本の食文化そのものを提言する努力もしています。韓国のプロモーション攻勢はすごいですが、シンガポールやタイの人などに化粧品もPRしています」(国際経済課担当者)

 コロナ前、タイからの旅行客の間では、化粧品、文房具、食品が人気ランキングの定番だった。それが円安の今、購入単価も高くなっている。訪日タイ人の2人に1人がアクセスする「チルチルジャパン」によると、200万円以上の時計を日本で購入するようなアクティブユーザーが増えているという。

 例年、訪日マレーシア人が増えるのは12月。購入者単価の高い「時計・フィルムカメラ」(2万4533円)、「靴・かばん・革製品」(1万7692円)、「衣類」(1万5562円)といった品目は、他国と比べても多く購入されている。

 歯止めの利かない円安は心配でならないが、インバウンドで盛り上がりたい人は大いに参考になりそうだ。