『観光のひろばin奈良』
〜 奈良少年刑務所のホテル化計画と、これからの奈良の観光を学ぶツアーのレポート〜
日時:平成30年10月13日

近鉄奈良駅に13時集合、奈良県庁の屋上から興福寺や東大寺などを眺望しました。明治の廃仏毀釈により、興福寺や東大寺の敷地が国に召し上げられ、それが奈良公園になったとか。
奈良の位置関係を学んでから、本ツアーの目玉「奈良少年刑務所」に向かいました。
14時に「奈良少年刑務所」に到着。上地支所長様から丁寧なご説明をいただきました。

・ 26歳未満の初犯の者に手に職をつけさせることも目的とした696名収容の刑務所だった。
・ レンガ造りの建物の全てと、木造建物の一部が重要文化財に指定されている。
・ 江戸時代の牢屋と、明治時代の刑務所を展示として残す計画。
・ 全国7カ所の少年刑務所の一つで、明治41年に竣工した山下啓次郎設計による「明治の五大監獄」の一つ。敷地は10万㎡以上。
・ レンガ造りの刑務所は地上2階建の独居房、3人部屋、雑居房、作業場などからなり、放射状の形状を取るのは、少ない人数で監視(夜間は2名で監視)できるように放射状にした。また、半地下部に風呂施設が設けられている。
・ 明治時代、外国との不平等条約を解消するためにも、刑務所の近代化に力を入れた。
・ 平成28年度末に閉鎖。平成29年コンセッション方式で運営権をソラーレ ホテルズ&リゾーツ(株)など8社に売却。今後、建物の耐震補強や改装をして、2021年春にホテル等の複合施設をオープンさせる計画。(契約期間は30年+30年)
・ 2019年10月に史料館をオープン。
・ ホテル転用後に、近接する鴻ノ池運動公園などを含めた奈良市北西部の観光振興を図るため、奈良県と奈良市、法務省は包括連携協定を結んでいる。
・ 設計した山下啓次郎氏は外国の施設を視察し、外国でも標準的だった放射状の形状のものを設計。

広大な敷地、広大な煉瓦造りの建物と圧倒されました。建物中央の監視所を中心に放射状に配置された2階建の棟があり、通路の中央が鉄格子。1階も2階も監視できるように作られた異次元を感じる建物でした。
牢獄は狭く、収容されている人はかなり圧迫感を感じそうです。内部は洗面、トイレ、小窓があり、入口の扉も頑丈で、当然内部にはノブがありません。間仕切りレンガの厚みは200mmを超えており、簡単に脱出できるような構造ではありません。
江戸時代の牢獄が保存されているのにも驚きました。何処にあり、どのように使われたかは不明ですが、西郷隆盛が遠島になった牢獄を彷彿させる建物です。江戸時代の牢獄と明治時代の近代的になった牢獄との差に不平等条約解消への意気込みを感じさせるものを感じました。

1時間少しの見学を終え、次の見学場所「吉城園」に移動しました、
「吉城園」は興福寺子院の摩尼珠院があったものが、明治期に民間所有となり、大正8年に現在の建物と庭園が造られた後、奈良県の所有となったそうです。
隣接する知事公舎とともに富裕層向けの宿泊施設の計画があるといい、現在、知事はここを退出されているそうです。隈研吾のプロデュースで、2020年の春にまちびらきさせるようです。

最後は県庁の東側のバスターミナルの工事現場でした。敷地8655㎡に3階建ての建物。展示施設やレクチャーホールも備えた広大な施設で、単なるバスターミナルではありません。ここを起点に周辺にバス網ができると素晴らしいアクセスが期待できそうです。
宿泊施設の計画も次々に浮かんでおり、このバスターミナル、少年刑務所などがリンクする新しい奈良の観光の姿を見せていただくことができました。

奈良県まちづくり推進局の竹田博康所長さま、素晴らしい計画のお話をありがとうございました。