富士山、世界トップ観光地への道(静岡編)
「登山」と「五合目観光」だけじゃない!
(日経ビジネスオンライン 9月22日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140918/271430/?n_cid=nbpnbo_mlp

【ポイント】
・富士山は自然遺産ではなく、文化遺産で世界遺産登録となりました。
 文化遺産とは顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観などを指し、
 富士山は「文化的景観」の「自然の要素が宗教的、芸術的、文化的な意味と結び付けられることにより創り出される景観」に該当するとされました。
・しかし、「信仰の対象」や「芸術の源泉」と認識して富士山を訪れる人はどれだけいるだろうか。
・「ロンリープラネット」では富士山はJapan’sTOP25の一つに挙げていますが、順位は19番目で、本文の扱いもそれほど大きくありません。
 「トリップアドバイザー」で富士山の観光名所としての順位は中部地方の5位にとどまっています。
 「ミシュラン・グリーン・ガイド」では「三ツ星」の評価はされているが、山梨県側の情報のみで、静岡県側で取り上げたのは伊豆だけ。

・富士山の世界遺産は、2県12市町村にまたがっている。
 山梨県の2013年の観光入込客数は2967万人。一方、静岡県の2012年度の観光入込客数は1億3808万人。
 富士登山や五合目観光では山梨側の吉田口を利用する人が年間267万人。2013年の登山者数は31万人(夏期のみ)。
・訪日外国人観光入込客数では山梨県69万人、静岡県39万人で、山梨がリードしている。
 しかし、延べ宿泊客数では静岡56万人、山梨49万人。静岡県には宿泊客率の高い伊豆圏域があるからです。

・世界遺産登録が富士山を訪れるのに、「影響がある」と回答した日本人は8.4%だが、訪日外国人は43.5%。
・「自然や風景の鑑賞」に期待する人は、日本20.7%、台湾25.0%、中国27.1%ですが、韓国は0%。
 韓国は、1位「地域の美味しいもの」22.4%、「ショッピング、アウトレット」と「お祭りやイベント」がいずれも12.4%。
・山梨側では富士山とフルーツ狩りが人気ですが、静岡側は、中国からの観光客は富士山や富士山本宮浅間大社等への立ち寄り率が57.4%に対し、韓国や台湾では10%前半にとどまり、多様性を示している。
・富士山はゴールデンルートに入っており、御殿場市の「富士仏舎利塔平和公園」「キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所」に来ている。
・静岡空港の2013年の乗降者数は46万人で全国40位だが、外国人出入国者数で見ると2010年度は全国8位と、地方管理空港では全国1位。
 魅力は富士山を眺めながら離着陸できること。地方空港のため、出入国手続きに時間がかからず、出発直前まで観光ができること。
 過去4年間のインバウンドの空港利用者数は34.3万人を数えます。その内訳は韓国便26.8万人、中国便4.8万人、台湾便2.7万人。
・JR新富士駅にはJNTO認定外国人観光案内所「新富士駅観光案内所」があり、外国人の利用は年間約6000人。欧米系バックパッカーが多く、
 JRのジャパンレールパスを利用し、天気の良い日などはふらりと電車を降りて富士山観光に向かう人が多い。

・今密かな人気を呼んでいるのが「田貫湖」です。田貫湖は、遮るものが何もなく富士山を眺められる絶景スポットなのです。
・小山町には「冨士浅間神社」と「須走口登山道」があり、登山者数は4万人弱にとどまっていますが、
 年間8万人の外国人観光客が宿泊する「富士之堡華園ホテル」がある。
 須走口登山道は緑地帯が多く、花や木を眺めたり、森林浴をしたりしながら、五合目から片道20分ほどのハイキングを楽しむのもお勧めです。
・御殿場口の登山者数は、4つある登山口の中でも最も少ない1万7000人ですが、下山者はその倍くらいいる。
 距離は長いのですが、ゆっくり登れるので高山病のリスクが低く、体に優しい登山道で、横浜や三浦半島などの眺めも見事。
・台湾では「ちびまる子ちゃん」が毎日放送されているチャンネルもあり、静岡観光でも「ちびまる子ちゃんランド」は大人気です。
・韓国では「地域の美味しいもの」への関心が高いので、静岡のB級グルメの静岡おでんや特産のわさびなどを売り込んでいる。