遠藤様は「JAMS.TV」の取締役社長であり、2023年度、国税庁の「酒類輸出コーディネーター(豪州)」にも選出されています。「オーストラリア酒アワード協会」の理事長もされておられます。
JAMS.TVは「オーストラリアにとって、ニッポンをもっと身近にする」ことがミッションだといいます。
オーストラリアで1年間に海外旅行する人は1100万人(人口2500万人)と旅行好きな国民です。訪日旅行は2023年61万人とコロナ前(2019年62万人)の水準に戻り、一人当りの旅行消費額は2019年24.9万円だったものが、2023年は34.1万円と大きく伸長し、旅行消費額合計は2,088億円で全体の3.9%(19年は1,519億円)です。買い物代が大きく伸び、娯楽サービス費は中国に次いで2番目だといいます。また平均泊数は13.7泊で、滞在日数も長いのが特徴です。
オーストラリア人の訪日旅行目的は「日本食を食べる」「伝統文化に触れる」が多いといい、帰国後「日本食を食べたい」「伝統文化に触れたい」と思っても記憶が薄れていくので、「もう一度日本に行きたい」と思ってもらえるように、帰国後の「旅アト体験」を提供するプラットフォームを作ろうと思ったそうです。そのため継続的に情報や体験を提供して、訪日旅行のリピーターを創出して、日本ファンを増やすことが大切で、「まだまだやれることがある」と気がついたといいます。
そのキーワードが「日本酒」!
「日本酒」は、世界に類を見ない日本ならではのものであり、文化的背景が深く、酒蔵のストーリーが面白く、世界で勝負できる圧倒的な品質があり、オーストラリアであまり知られていないことから、将来性があるとして取り組みを強化したといいます。
しかし、造り手、売り手でもない自分に何が貢献できるのか?
作り手、売り手には「売り上げがアップ」して、消費者には「楽しむ機会」を与え、それぞれWin-Win-Winな関係を築こうと、2018年にオーストラリア市場に特化した日本酒webメディアの立ち上げ、あらゆる日本酒イベントを無料掲載し、業界ネットワークを形成されています。2022年、コロナ明けのイベント解禁と共に日本酒関連イベントを実施するというステップを踏んでおられます。
2023年、「日本酒フェスティバル」をメルボルンとシドニーで延4日間開催し、総来場者数1万人、出展者売上92万豪ドルを達成されています。
なお、酒を売る人「販売員(輸入業者・卸業者・小売業者・飲食業者)」などには教育の場として「日本酒コンクール」を開催、酒を飲む人「消費者」のためには日本酒の認知向上の場として「日本酒フェスティバル」を開催されました。
「日本酒コンクール」は、オーストラリア人の市場にあった日本酒の品評会になり、審査員に60名ほどの販売員(輸入業者・卸業者・小売業者・飲食業者)の方になっていただき、審査は、ブラインドテイスティングにより日本酒の「香り」「バランス」「深み」など点数をつけていただき、「お米は何を使っているのか」「熟成期間はどれくらいか」を考えないと点数がつけられないことから、日本酒の高度な勉強をする機会になっています。日本酒の販路を広げるためには、消費者だけではなくて、販売員の方にも広げることが重要だと話されました。