沖縄・やんばる近くにテーマパーク、600億円台調達めど
(日本経済新聞 2023年1月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC270200X21C22A2000000/

【ホッシーのつぶやき】
元USJ再建に尽力した森岡毅氏の会社「刀」が手がけておられる沖縄のテーマパーク。昨年7月のインバウンドサミットでも熱く語っておられた事業が、事業費600億円の目処が立ちスタートするという。地元も当事者として関わるといい、沖縄開発の起爆剤になる可能性が高い。
沖縄は観光のポテンシャルが高い。ヤンバルの自然を活かした魅力あるテーマパークが2025年に誕生するという。2025年の大阪・関西万博とともに期待したい。

【 内 容 】
沖縄本島北部で2025年に開業予定のテーマパークについて、600億円台を見込む事業費調達にめどが立った。一部は地元中小企業も出資したファンドの資金を充てる。建設工事も22年度中に始まる見通しだ。地元企業も当事者の一員として事業に関わる体制を築き、パークを起点にした新たな経済の好循環を目指す。

テーマパークは沖縄本島北部の今帰仁村と名護市にまたがるゴルフ場跡地に設ける

パークは今帰仁村と名護市にまたがる約60ヘクタールのゴルフ場跡地に設ける。近くには世界自然遺産「やんばる」の森が広がることから、亜熱帯の森林の魅力を感じられる観光拠点とする計画だ。

沖縄県外の旅行大手、県内のホテルや百貨店などが出資して18年に設立した準備会社、ジャパンエンターテイメント(名護市)が整備する。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の経営再建に尽力した森岡毅氏が立ち上げたマーケティング会社、刀(同市)が企画を主導する。

事業資金の一部には、ファンドを通じた地元中小による投資も含まれる。SCOM(エスコン、浦添市)が組成したファンドには県内を中心に24者が出資し、想定を上回る15億6000万円で募集を完了した。エスコンと親会社のROS(同市)も資金を拠出した。

大型のテーマパーク事業に地元の中小が広く出資するのは珍しいという。背景にはこの事業が沖縄経済発展の起爆剤になることへの期待がある。観光人材の育成やスタッフの雇用、宿泊・観光施設の集客増などを通じ、全国最低水準の県民所得改善も狙う。

出資した中小エネルギー関連企業の役員は「運用益の確約はないが、沖縄の成長へ希望を感じられる」と話す。ROSの藤本和之社長も「事業成功時に地元の人が当事者として喜べることが重要だ」と語る。

刀は全国でテーマパークの企画・再建に携わっている。経営破綻した年金保養施設跡のネスタリゾート神戸(兵庫県三木市)では「大自然の冒険テーマパーク」を打ち出し、来場者を増やした。沖縄のパークも自然の地形を生かし「人間の本能に深く刺さる」(森岡氏)アクティビティーをつくる構想だ。

沖縄は空路で4~5時間圏内に20億人超の巨大市場を抱える優位性があり、アジアの富裕層を引き寄せる潜在力は大きい。森岡氏は「高いポテンシャルをもつ沖縄の観光業を磨くことが、停滞する日本経済の新たな『食いぶち』をつくることにつながる」と話す。