沖縄県竹富町、観光管理でエコツーリズム実現に本腰、1日あたり「立入上限数」設定、西表島の一部エリアで
(トラベルボイス 2022年12月8日)
https://www.travelvoice.jp/20221208-152542
【ホッシーのつぶやき】
「西表島エコツーリズム推進全体構想」を環境庁が認定した。
西表島は観光利用を行わない「保護ゾーン」、一定のルールのもとで観光利用を行う「自然体験ゾーン」、観光利用が可能な「一般利用ゾーン」に分けている。「自然体験ゾーン」では1日あたりの案内客数を制限し、またガイド免許を持つガイドが案内するという。
20年ほど前に西表島の奥地まで案内してもらったが、自然を保護するために「責任と思いやりのある行動」が求められるのは当然だと思う。
【 内 容 】
環境省は、沖縄県竹富町から申請された「西表島エコツーリズム推進全体構想」を認定した。西表島では近年、自然体験型観光の増加に伴い、利用フィールドやガイド事業者の課題が顕在化していたことから、「西表島エコツーリズム推進全体構想」を基準とした適切な観光管理のもとでエコツーリズムの実現を進めていく。大きなポイントは、西表島における一部エリアで1日あたりの立入上限数を設けたことだ。
竹富町では、2020年4月に「竹富町観光案内人条例」を制定。竹富町長が西表島でガイド事業を行う事業者に対してガイド免許を交付する制度を始めた。この狙いは、最低限の基準を満たさない事業者をなくし、ガイド事業の適正化を目指すものだが、事業者が守るべき個別ルールについては、エコツーリズム推進法に基づいた「西表島エコツーリズム推進全体構想」で定めることにしていた。
全体構想は、それぞれの地域の実情に応じた自然環境保護のルールをさまざまなステークホルダーが参加する協議会で定めたうえで、国の認定を受けることで、法的効力を持つ公式ルールとしている。
立入制限で観光管理する「自然体験ゾーン」、上限数の設定も
全体構想では、西表島を3つの利用区分にゾーニング。原則として観光利用を行わない「保護ゾーン」、一定のルールのもとで観光利用を行う「自然体験ゾーン」、観光利用が可能な「一般利用ゾーン」に分けた。
観光利用で焦点となるのが「自然体験ゾーン」。自然観光資源として27ヶ所を指定し、共通ルールとエリアごとあるいは資源ごとの個別ルールを設定し、「仲間川」「北東部」「ヒナイ」「浦内川」「南西部」の陸域における1日あたりの案内客数を制限する。例えば、島東部の仲間川でのカヌーのアクティビティでは、1ガイドあたり12人以内かつカヌー6艇以内、1事業者あたり24人に制限する。
さらに、「自然体験ゾーン」の区分では、「特定自然観光資源」として「ヒナイ川」「西田川」「古見岳」「浦内川源流域」「テドウ山」の5カ所を指定し、総量規制のための立入制限の仕組みを設ける。このエリアに立ち入るためには、事前に竹富町長に申請を行い、承認を得る必要がある。また、適正な利用を図るために、推進協議会が指定する要件を満たすガイドの同行あるいは講習の受講なども条件に加えた。
それぞれの1日あたりの立入上限数は、ヒナイ川200人、西田川100人、古見岳30人、浦内川源流域50人、テドウ山30人。
今後、自然観光資源の利用者数や自然保護の状況などのモニタリング調査を実施し、利用ルールの見直しや保全事業などの対策を行うほか、竹富町西表島エコツーリズム推進協議会のもとに、モニタリング評価委員会、ガイド事業者との調整を行うワーキンググループを設ける。
旅行者に「責任と思いやりのある行動」を呼びかけ
このほか、全体構想では、利用者向けのルールおよびマナーも陸域と海域に分けて細かく設定。竹富町でも「島からの8つのお願い」として、ビーチ以外で水着や上半身裸で歩かないこと、地域医療への負荷を防ぐための日焼けや熱中症対策、御嶽や拝所などへ無断で立ち入らないこと、ドローンなどでの集落撮影を控えること(要事前申請)、ゴミの持ち帰り、制限速度でのドライブ、飲酒後の海水浴は控えること、登山では入林届の提出を呼びかけている。
さらに、竹富町では、「責任と思いやりのある行動」を訪問者に事前に呼びかける取り組みとして、新たにビジュアル「またねっ!と、言いたいから。その思いが、島と人をつなぐ」を制作。SNSやホームページなどでの発信を強化していく方針だ。