知床からの報告 〜元斜里町町長 馬場 隆さま
(観光のひろば 2024年11月22日)

【ホッシーのつぶやき】
2年前の海難事故は痛ましい限りです。そして今も斜里側に観光に来てもらえていないといい、国の怠慢や、遊覧船の社長からちゃんとした謝罪がないことへの怒りが聞こえてきます。早く以前のように観光も活況を呈してほしいものです。
それにしても知床の観光も前年より増えた分の半分をインバウンドが占めているようです。

【 内 容 】
今日は、知床の最近の状況と2年前の海難事故のその後、知床の冬観光についてお話しさせていただきます。今年、知床は国立公園に指定され60周年を迎えました。

今年4月から10月までの知床の宿泊数は前年比14%増でした。
要因としてはインバウンドが2019年比を超え、増えた来訪者の半分をインバウンドが占めていた様です。

残念ながら海難事故の影響が続いているせいか、斜里側には観光に来てもらえない、遊覧船に乗ってもらえないという状況です。緩やかに回復しているものの、依然厳しい状況が続いております。ただ知床の反対側の羅臼側はシャチやホエールウォッチングが順調のようです。

海難事故に関しては、最近、被害者の方のカメラが見つかり奇跡的に復元もできて、撮影された方の最後の写真や同乗していた他の被害者も写っており、ご遺族にとって思いがけない喜びとなりました。
この事故によって改善点が66項目指摘されましたが、その多さは国の怠慢としか見えず、しかもその責任を認めることなく、改善が進んでいると言う報告は、手柄話としか聞こえないというのが、ご遺族の率直な受け止めです。
加えて、最も責任のある社長からのちゃんとした謝罪が今もないこと、さらに今も普通に生活していることなどの現実を聞いている中では、前を向いていこうと思っても、前を向ききれないというのが現在のご遺族の心境でした。ご遺族の傷が癒えない状況が、2年半あまり経った今も続いています。

知床の冬観光の話ですが、流氷が来たといえば期待も高まるのですが、通常、1月後半から2月に着岸するのですが、最近の温暖化で今後どうなっていくのかという心配を感じるとともに、流氷に頼らない観光を作っていかなければならないと関係者と意見交換しておりますとのご報告をいただきました。