静岡・西伊豆、電子地域通貨で創生 誘客から補助金まで 〜地域のチカラ 街のイノベーション
(日本経済新聞 2022年6月13日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC204UY0Q2A520C2000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
昨日、一昨日はスマカンNEWSをお休みして、京都府の県民割拡大版で京都に1泊してきました。宿泊で5000円、買い物で2000円が補助されるのでお得です。先月は兵庫県のクーポンで有馬温泉に宿泊しました。行けなかった近隣スポットに行くチャンスです。この県民割、8月末まで延長されるとNEWSでも流れました。近隣を楽しみましょう!
今日、紹介する西伊豆町の地域通貨はユニークです。釣った魚を地元が地域通貨で買い取り、釣り人は飲食などに地域通貨を当てるといいます。自宅に持って帰る魚以外を地元が買い取ってくれると釣り人も嬉しいです。地元だけで使用できる地域通貨に取り組む所は多いですが、このようにすれば釣り人と関係人口になるように思います。

【 内 容 】

高齢化率が50%を超える静岡県西伊豆町で人口あたりの普及率がほぼ100%の電子通貨がある。同町が2020年に導入した電子地域通貨「サンセットコイン」だ。町内でしか使えない特性を逆手に観光客が釣った魚をコインで買い取り、地域の店舗などで使ってもらうといった経済循環の仕組みづくりを進めている。

「支払いはサンセットコインで」。5月下旬の昼下がり、漁港近くの直売所「はんばた市場」で同町に住む70代の女性が新鮮なイサキの刺し身を購入していた。「支払いは簡単だし、地域でお金を使っている実感がある。公共料金以外は大抵コインで支払う」と話す。コインはコンビニや飲食店など約140店と町内の多くの店舗で使える。チャージは町役場のほか一部の加盟店で可能だ。

コインはスマートフォンの専用アプリ以外に、デジタルに不慣れな高齢者らが安心して使えるよう町が発行するQRコードが印字された電子カードでも決済できる。「子供のお小遣いを電子カードで管理するといった使い方をする親もおり、幅広い世代が親しんでいる」(担当者)という。

西伊豆町が電子地域通貨を導入したのは20年5月。新型コロナウイルス禍の経済対策として1万円のコインが入った電子カードを町民全員に配布したことがきっかけだ。職員数が限られるなか、事務負担を減らすため、住民への生活支援や地域事業者の支援でもコインを活用している。さらにカードのIDと住民基本台帳をひもづけて管理している。

システムはトラストバンク(東京・渋谷)が提供する電子地域通貨プラットフォーム「chiica(チーカ)」を採用した。開発期間が省け、導入決定から1カ月ほどで給付につなげた。

22年4月からはアプリを介した介護人材への報酬をコインで上乗せ支給するといった手法で人材確保を進めているほか、5月から期間限定でコロナ禍の経済対策として1%の還元率を10%に引き上げ町内の消費を促している。

コインを通じた施策はお金を地域内で循環させるだけでなく、業務の効率化にもつながる。消費喚起策を導入する場合でも、従来のように商品券を紙で発行する必要がない。西伊豆町では印刷手配などにかかる費用1000万円ほどを削減できた。コインの流れをシステムから追えるため、1カ月ほどかかった集計作業がなくなり職員の負担減にもつながったという。

コインを活用した観光施策にも力を入れている。釣った魚を電子地域通貨で買い取る「ツッテ西伊豆」と銘打った取り組みを20年9月に始めた。釣った魚を全て持ち帰る必要がないため、家族連れをはじめとしたこれまで多くなかった新たな観光客の呼び水となっている。

買い取った魚はすぐに店頭に並べる

漁師不足で魚の流通量が減るなか、釣った魚は地域の旅館などに販売し、稼いだコインは町内で使ってもらう。買い取り価格は1人あたり平均2000円前後で「普段より少しいい食事をして帰る人が多い」(担当者)という。

静岡県内では西伊豆町以外にも電子地域通貨の導入に向けた動きが広がっている。富士市が20年に導入したほか、御殿場市は22年8月中旬に導入する予定だ。浜松市は22年度からの導入に向け研究を進めている。

還元率以外の利便性で持続性を
地域内に循環型経済圏を生み出す電子地域通貨には多くの自治体が期待を寄せ、導入例が増えている。持続的な事業にするには加盟店や利用者を増やすための取り組みが重要だ。
西伊豆町は導入当初、町の職員を半数ほど動員し店舗への設置を進め90店舗ほど加盟店を確保した。県内の他の自治体では他の決済手段との競合などで加盟店の確保に苦戦した例もある。
住民への普及率の高さが強みだが今後は利用者を維持する仕組みの構築が課題となる。4月からは還元率を常時1%に設定しているが、住民からは「還元率が高いときだけ使い、他は現金で支払う」といった声も聞かれた。
電子地域通貨を地域に長く根付かせるため、自治体には還元率以外で利便性や優位性を示すことが求められる。