【アトキンソンのインバウンド経済論】
予想以上のスピードでインバウンドが回復/中国抜きでも急増の理由/安物を売っても意味はない/問題は人手不足/デザインセンスが悪すぎる
デービッドアトキンソン 小西美術工藝社社長
山崎大祐 マザーハウス副社長
(PIVOT TOLKのYouTube 2023年2月22日)
https://www.youtube.com/watch?v=DT7chOwYmA4

【ホッシーのつぶやき】
10月以降のインバウンド伸びは大きい。今、来ているインバウンドは富裕層が多い。渡航費用が高いので、円安だから日本に来ているのではない。
日本のインバウンド戦略は富裕層に舵を切ることが求められそうだ。高級ホテルが増え、これまで無かった高単価商品が増え、多様化するのだろう。
これまでの人口増加時代と、人口減少時代の商売の流れは大きく変化することになりそうだ。

【ポイント】
・2025年には2019年のインバウンドを抜く可能性がある
・単価の高い人が中心に訪日している
・今まで以上の経済効果が期待できる
・中国人は来ていないがアジアからの訪日客に日本経済は支えられている
・良いモノをつくるため単価は上げていかなければならないのに、日本人にその発想がない
・日本は、人が確保できていたから問題をカバーしてきたが、これから厳しくなる
・人口増加あっての戦略だったのに、人口減少になってもまだこれまでの戦略でいる
・一番の問題は人手不足。

【 内 容 】
Part1:予想以上の速さでインバウンドが回復

アトキンソン:
10月の水際対策緩和以降急激に伸びており、中国人の渡航はまだだが、中国人を除いたアジア人は2019年の75%まで回復し、欧米も66%まで回復している。

JNTOも2023年は690万人と予想している。
12月実績で算出すると、2023年は1500万人、2024年は2300万人、2025年は2019年を超える勢いがある。

アフターコロナ

単価が上がっている。
「円安」が理由に挙げられているが、今、航空運賃がすごく高い。欧州との格安航空と比較すると5〜6倍(ビジネス往復100万円)になっているので、単価の高い富裕層しか来ていない。富裕層は円安なんか気にしない。
もともと旅行費用予算を決めているので、円安になった分の消費は上がっている。

山崎:中国人は来ていないが、他のアジア人が無茶苦茶お金を落としていて、12月のデータでも、店舗にもよるが、3割はインバウンドが来店しており、全体でも10%は超えている。また購買意欲も高く、「日本にようやく来れた」と感じる人が多く、お買い物をしに来ている。

司会:インバウンド需要が日本の福音になるでしょうか?

アトキンソン:10月、11月、12月は、海外ではあまり需要が無いのに訪日客が多いのは、相当に強いと見ている。

山崎:小売の世界で5%売り上げを伸ばすのは大変な中で、30%増の店舗が出ていると言うことは大きい。ルイビトンを買うなら日本の方が安心。一方、日本らしいオリジナルなものを買いたい人もいて、一見さんが買っていく。
アトキンソンさんは「インバウンド消費は、単価を高くし、オリジナリティが重要、高級志向のものを作りなさい」と言われるが、どのように感じますか?

アトキンソン:高級品といえども段階的に単価が上がるが、ある程度までいって、その上は何もないと感じていますが、日本は人口減少により、単価の高いものがなくなり、安いものしかない状態ですが、外国人観光客は渡航費用も高い中で、楽しみたいとの意識が強い。
だから6千円のホテルでなく高級なホテルに泊まりたいと思う。単価の高いホテルも充実してきたし、実際の単価も上がっている。そして単価が上がっているホテルほど稼働率が高い。国内でも海外でも高い単価から埋まっていく傾向がある。
安い物を、汗を流して売って、利益がほとんど残らないような商売は意味がない。
ホテルは稼働率が7割欲しいと言うが、7割でも利益はほとんど残らない。外国人が1割来ればそのほとんどが利益になる。1割の外国人の売り上げを軽視しすぎた。