訪日外国人のクレジットカード消費動向レポート
~水際対策緩和後における消費動向を地域や業種ごとに分析~
(日本総合研究所NEWSリリース 2023年1月30日)
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104404&utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2023年2月1週号&utm_medium=email

【ホッシーのつぶやき】
三井住友カードによると、訪日外国人の消費が昨年10月以降急回復しています。観光庁の2022年10-12月の調査でも5,952億円で、2019年比51%減ですが、消費額が急拡大しており、一人当たりの消費の大きさに注目が集まりました。円安とリベンジ消費を原因としていますが、今、海外旅行を楽しんでいるのは富裕層とのレポートもあります。
それにしても大阪の中国、アジアへの依存度の高さを改めて感じます!

【 内 容 】
三井住友カード株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:大西 幸彦、以下「三井住友カード」)と株式会社日本総合研究所(本社:東京都品川区、代表取締役社長:谷崎 勝教、以下「日本総研」)は、三井住友カードが保有するキャッシュレスデータを基に、訪日外国人の消費動向について分析したレポートを作成しましたのでお知らせします。なお、キャッシュレスデータの集計には、三井住友カードのデータ分析支援サービス「Custella(カステラ)」を活用しています。

 昨年10月に、入国者・帰国者に対する水際対策が大幅に緩和され、訪日外国人は増加の一途を辿っています。一方で、ウィズコロナの状況において、訪日外国人の消費行動には大きな変化が起きている可能性が指摘されています。
 三井住友カードが保有するキャッシュレスデータは、日本における訪日外国人のクレジットカード消費動向を「いつ・どこで」のように、業種や地域別などの切り口で俯瞰的かつ正確に捉えることが可能です。こうした訪日外国人のクレジット消費動向に関するデータと、日本総研のアナリストが持つ豊富な知見を活用し、水際対策緩和後の訪日外国人の消費動向を調査しました。本レポートが、今後の政策立案や事業策定の一助になれば幸いです。

 本リリースにおいては、レポートに掲載している分析結果のサマリーを記載しています。レポート本文には、これら以外にも詳細な情報を多数掲載しておりますので、是非以下サイトよりご覧ください。

インバウンド消費分析レポート:
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/release/2023/0130/inbound_202301.pdf

・三井住友カード株式会社が保有するクレジットカードのデータを個人および利用店舗が特定されないよう個人情報保護法および関連法を順守し、三井住友カードにて適切な加工・統計化処理を実施したデータにて分析をおこなっています。
・2023年1月10日までの弊社到着のキャッシュレスデータを使用しております。
・加盟店の業種区分は三井住友カードにて分類した53区分となります。
・三井住友カードのデータのみを分析したものであるため、実態の傾向とは異なる可能性がございます。
・資料上の考察は三井住友カード及び日本総合研究所の独自の想定見解であり、確定事項ではございません。

1.この分析について
訪日外国人によるクレジットカードの決済データをもとに、支出内容や行動特性などを勘案して、インバウンド関連決済を抽出しました。そのデータを、時系列、国籍別、決済地域別、業種別などに細分化して整理・分析しました。

2.調査結果サマリー
(1)決済件数および決済額の日次推移
 日次推移をみると、東京五輪や水際対策緩和など、イベント発生時における訪日外国人の動きをかなり正確に捕捉していることが分かります。インバウンド需要は昨年10月の水際対策緩和後に急回復し、昨年12月末まで右肩上がりで増加し続けています。

(2)決済地域別
 地域別にみると、インバウンド決済額の回復状況には差が生じています。関東・中部・東北などではコロナ前を上回る水準まで戻っていますが、中国人観光客への依存度が高かった近畿などの回復に遅れがみられます。実際、大阪府のインバウンド決済額を見ると、回復の早い韓国人観光客などの決済額は増えていますが、中国人の決済額が大幅に落ち込んで足を引っ張っていることが分かります。

(3)業種別
 業種間でも、インバウンド決済額の回復度合いに違いがみられます。とくに、百貨店・家電・ドラッグストアなどの回復が大きく遅れています。これも、中国人観光客の戻りが遅いことが一因といえそうです。

(4)円安効果
 カード当たりのインバウンド決済額をみると、コロナ前に比べて全体的に上振れています。これは、昨年来の円安によって外国人の対円購買力が向上したほか、3年ぶりの訪日旅行に伴うリベンジ効果が現れている可能性が考えられます。


3.展望と示唆
 今後のインバウンド需要の回復ペースは、中国人観光客の戻り方に大きく左右されることになります。インバウンド需要を安定した地域経済活性化につなげるには、国籍の多様化・分散化に取り組む必要がありそうです。 また、円安効果等による支出意欲の高まりを、今後の観光産業振興に役立てることも重要です。例えば、支出単価の増加分を賃上げ原資やデジタル化投資等に活用し、特に観光産業において深刻化する人手不足対策に繋げることも一案です。

4.その他
(1)三井住友カード データ分析サービス「Custella」について
 「Custella」では三井住友カードが保有するキャッシュレスデータを、個人・加盟店が特定できないよう統計化された顧客属性データ(新規、リピーター、インバウンド等)や、顧客行動ごとに集計し、統計化された購買実績データ(平日、休日、時間帯、エリア等)など、様々な切り口で容易に集計し、データを「見える化」し三井住友カード加盟店様のマーケティングを支援する分析サービスです。