訪日客は、どこでどんなお菓子を買っているのか? —インバウンドとスイーツの甘くて濃密な関係Vol1
(やまとごころ 2019年8月19日)
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2018年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5189億円、買い物が1兆5763億円とトップで、「お菓子」68.0%と1位、2位は「化粧品・香水」(41.6%)、3位は「医薬品」(36.4%)。一人平均単価8,353円だ。
「抹茶」人気が衰えを見せない。日本らしい味、健康に裏付けられるように人気に火がついた。
上野の「二木の菓子」が、「LIVE JAPAN」の”訪日外国人から人気があった店舗”で、総合賞・小売ショッピング施設で第1位に輝いたという。
外国人観光客がみやげを買うのは空港だ。帰国時にまとめ買いするのはどこの国も同じのようだ。

【ポイント】
訪日外国人の買い物で菓子の人気が際立っている。
外国人観光客の平均購入単価は1人1000円程度だが、日本人客の2倍。
彼らは、工作のように作る知育菓子のような商品も売れる。ユーチューブで海外に広まったようだ。
和菓子屋やお茶屋も、抹茶ブームで、茶葉を買う外国のお客様が増えている。抹茶のお菓子が巷にあふれるのはインバウンドの影響が大きい。お茶まで買うという外国人観光客も現れている。

上野の「二木の菓子」では、棒状スナック菓子のうまい棒も外国人観光客に人気だという。
「二木の菓子」第一営業所(上野)は、訪日客向け情報サイト「LIVE JAPAN」の2018年4月から2019年3月までの訪日外国人から人気があった店舗において、総合賞・ショッピング部門(小売ショッピング施設)第1位となっている。

外国人観光客がみやげを買っているのは空港だ。
成田国際空港の出国ターミナルのショッピングフロアの製菓店で、外国人観光客によく買われるみやげ菓子は、東京ばな奈やキットカット、意外や老舗の和菓子の名菓ひよ子、宇治抹茶ショコラ大福など。乳化剤が大豆由来のハラルチョコレートもあった。
東京ばな奈、KITKAT、ひよ子本舗吉野堂、吉祥菓寮など、人気菓子のサイトのコンテンツは充実し、多言語化も進んでいる。

外国人観光客は百貨店の地下食品売場にも現れる。東京駅改札内のエキナカショップのGRANSTAが人気だという。ここは日本のお菓子のトレンド最前線のひとつといっていい。ここにも外国人観光客は押し寄せているのだ。

今年の訪日外国人市場は明らかな変調が見られ、訪日外国人数は数%増加を維持しているものの、伸び率が激減。韓国、台湾、香港など訪日トップ5の常連の伸びが飽和状態となり、前年より減少する月が増えており、今後もこの傾向は続くと考えられる。一方2桁増はベトナムとロシアである。

2018年のインバウンドの旅行消費額は4兆5189億円、前年比で微増したものの、費目別トップは買い物1兆5763億円で、購買率1位が「お菓子」68.0%となり、2位「化粧品・香水」(41.6%)、3位「医薬品」(36.4%)を抜いて断トツ。一人平均単価8,353円で、韓国は82.5%と平均よりも高い。

買い物の前年比では、シェアのみならず総額で減少(2017年1兆6398億円)している。
消費額の伸び悩みはもとより、訪日客は増えているのに、買い物総額が落ちているのだ。これはただの変調ではなく、今後もこの傾向が続くと考えられる。

高額商品から安価で小さな商品へと変化する訪日中国人の購買行動
「最近、中国から来るお客様は、以前流行った炊飯器など電化製品はほとんど買いません。高額な商品でなく、みやげ用の安価で小さい商品ばかり買います。それも数を大量に買います。たとえば、マスク類(肌にやさしい種類)、ハンドクリーム、スキンケアミルク(特に資生堂)、ステンレス製のボトルやカップ、セラミックナイフ、酒盃、歯ブラシ、各種薬品(龍角散、救心等)などがよく購入されています。人から頼まれて買って来てほしいと具体的な商品名をメモして来る方が多いです」

訪日客が増えても、購入するみやげの単価が下がれば、買い物総額は下がって当然だ。
日本のお菓子には海外にはない魅力があり、現状では競争力があるといっていい。日本のお菓子なら何でも喜ぶが、圧倒的人気は「白い恋人」と「東京ばな奈」で、東京を代表する菓子と思われている。