「奈良公園のさらなる魅力向上」 ~ 世界に誇れる奈良公園~ ①
竹田博康 様 奈良県地域デザイン推進局次長
(観光のひろば 2023年3月3日)

【ホッシーのつぶやき】
第50回にふさわしい『観光のひろば』になりました。
2010年の「平城遷都1300年祭」を契機に、奈良公園を中心とした竹田さんの取り組みは素晴らしいです。
事業の量も多く、質も高い。これだけの事業を10数年で成すためには、県庁内や地元の理解を得て、予算を獲得し、現場に足繁く通わなければ成し得ない。
いろいろな軋轢もあっただろうと思いますが、「私は打たれ強い!」と飄々と語るところに、竹田さんの凄さがあると感じました。

【 内 容 】
 今日は“奈良を愛してやまない竹田さん”に奈良公園の魅力について語っていただきました。

 土木職として奈良県に採用された竹田さん、土木職だけの仕事にとどまらず、2010年の「平城遷都1300年祭」を契機に、2011年、奈良公園のワンストップ窓口として“奈良公園室”の誕生に関わり、同室長を経て、現在、地域デザイン推進局次長の職についておられます。『奈良のことなら竹田さん』と、奈良公園に関するSNSを600日近く連続投稿されていると言います。

 「奈良公園は、もともと春日大社、興福寺、東大寺の境内地」として始まり、1880年の廃仏毀釈の後、官有地となった興福寺境内が奈良公園の誕生のキッカケで、春日山原生林も加えて、現在511haあるそうです。
 今後の動きとしては、 15年後のリニア新幹線の新駅設置がチャンスなので、「リニア新幹線を契機としたまちづくり」が重要だとのお話から講演が始まりました。

 奈良公園は、歴史・文化資源、自然資源、公園資源が融合した独特の景観を持ちます。

 そして、奈良公園の価値を『維持』するだけでなく、その価値を『利活用』するため、「奈良公園基本戦略」を平成24年に策定されています。2018年のトリップアドバイザーで奈良公園は12位(東大寺4位)に入っていますが、“宿泊客室数、宿泊者数(コロナ禍)は全国最下位”で、ほとんど日帰りで帰られます。宿泊施設を増やす必要があるのですが、既存の旅館・ホテルと競合しないようなホテル誘致に動いていかれます。ホテルは民間事業ですが、行政が関わることで“奈良公園周辺のアメニティなど魅力創出に向けた事業”を行えることで、相互が連携して価値を高めるとのお話でした。

 メインの戦略は、奈良の玄関口である“大宮通り”を『現代のシルクロード』としてプロジェクトを進められ、周辺整備をするため「奈良公園観光地域活性化総合特区」の指定を受けられます。奈良公園の浮見堂近くにある「高畑町裁判所跡地」に隈研吾さんプロデュースのホテルの「ふふ奈良」(令和2年オープン)を建設、知事公舎跡地等の「吉城園周辺」の保存活用として、同じく隈研吾さんプロデュースのホテルを建設、「奈良少年刑務所」を活用した星野リゾートのホテル開発(令和7年度中オープン)などに取り組まれています。
 奈良公園内にホテルを建設するということで軋轢もあったようです。

 環境問題の改善のため“奈良公園内にバスを入れない”ようにすること、奈良公園の情報発信基地にするとして「奈良公園バスターミナル」を平成31年にオープンさせられています。
 また10年前に平城宮跡の地域を国営公園化して、平成30年に「平城宮跡歴史公園」をオープンさせ、今も建設が進んでおり、何年か先には往時の平城宮が再現されるとのことでした。また、大宮通りの県営プール跡地等にJWマリオットホテルを建て、コンベンション施設やNHK奈良放送会館なども建設されるといいます。