じゃらんの『雪マジ19』②をご紹介する。
 
『雪マジ19』の考え方は、旅客機のマイレージと同じだという。
満席であっても空席があっても旅客機を飛ばすコストは同じで、スキー場のリフトも同じことだ。航空業界ではこの空席をマイレージ席としてマーケティング手段に活用しているのに対し、ゲレンデの需要を掘り起こしてくれる可能性の高い19歳を対象に、リフトの空席を無料枠として提供する考え方だ。
 
この考えをスキー場関係者と共有するため、じゃらんは20カ所以上でセミナーを開催し、1500名以上の参加者を得たという。
その結果、初年度の2011年は全国89カ所の賛同を得て、19歳登録会員約5万人、『雪マジ19』利用による訪問人数は延べ約13万人。2年目は136カ所の賛同を得て、19歳登録会員約10万8千人、『雪マジ19』利用による訪問人数は延べ約34万6千人となり、通常の19歳の平均来訪回数2.04回に対し、『雪マジ19』会員の平均来訪回数は3.21回に増えている。また“ゲレンデ初めてさん”が12万6千人だと推定されるというのも素晴らしい。
 
『雪マジ19』会員でゲレンデ来訪率は、1回32.7%、2回17.8%、3回10.4%、4回6.1%、5回7.3%、6回以上15.0%%と、0回の10.7%を大幅に上回っている。また『雪マジ19』があったことでゲレンデへ行くことになった人が、初年度35.6%、2年目41.2%。スキー場へ行く回数が増えた人が、初年度51.6%、2年目53.4%と、変化なしの人を大幅に上回っている。
19歳は友人・グループで行動した人が84%に上る。同行人数は平均5.2人で、19歳が3.86人、19歳以外が1.45人と、19歳以外の年代層の取り込みにも成功していることになる。
 
一般に19歳は“日帰り”が多いとされるなかで、宿泊した若者が、初年度26.4%、2年目40.4%と宿泊も大幅に増加している。
当然、ゲレンデや付近のレストラン等での食事、付近の商店やコンビニでの買物、スキー・スノーボード等のレンタル等も発生しており経済効果も高い。
スキー場選択のポイントは19歳のみのグループでは、交通アクセスが便利40.3%、アクセス時間が短い34.0%とアクセスを重視しているが、19歳以外を含むグループでは、規模が大きく、コースのバリエーションが良い31.0%、雪質が良い26.8%、景色や雰囲気が良い24.0%となっている。19歳のスタートは閾値の低い場所が好まれそうだ。
 
“旅客機のマイレージと同じ”とはよく言ったものだ。この発想は国や自治体では生まれない。『雪マジ19』は、自治体のエリアを越えた取り組みであることと、営利企業の取り組みととられるため、行政の支援も受けることが難しい。
企業であっても、地域を越え、業態を越えて連携するのは難しい。
この取り組みはじゃらんが中心になって連携の場を作るので成功しているが、「観光」においても、連携しない限り越えられない壁はある。
 
http://jrc.jalan.net/j/2013/04/1361919-snow-ma-91ef.html