[社説]G7並みのインバウンド受け入れを早く
(日本経済新聞 2022年5月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK275GH0X20C22A5000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
日経が非常に厳しい論調でインバウンド対策を非難している。日経がこのように書く効果は大きい!
“日本人は自由に国内旅行ができるのに、外国人に個人旅行を認めないのはなぜか。外国人は訪日前に陰性証明を取得しており、コロナ対策上は日本人より安全ともいえる。理由なき外国人差別は許されない”
このような声がいろいろな所から聞こえている…

【 内 容 】
岸田文雄首相が新型コロナ対策で止めていた外国人観光客の受け入れを6月10日から再開すると表明した。円安の進行で、日本訪問の魅力は一段と増している。
コロナ禍で打撃を受けた観光産業や地域経済を活性化するためにも、インバウンドの再開を着実かつ迅速に進めてほしい。

岸田首相は5月初めのロンドン講演で「他の主要7カ国(G7)並みに水際措置を緩和する」と世界に発信した。インバウンド再開はその一環だが、「鎖国政策」とも批判された厳しい入国規制の緩和はまだ踏み込みが足りない。

ひとつは入国者数の制限を残すことだ。これまで到着空港で入国者全員に抗原検査を義務付けていることがネックになって人数制限を設けてきたが、6月1日からは検査対象を大幅に絞り込む。
この結果、人数制限の必然性はほぼ消えた。にもかかわらず1日あたり2万人という上限を設定し、それを上回る入国は認めないとする理由がよく分からない。

コロナ前の2019年には日本人と外国人合わせて1日約14万人が入国していたことを考えると、2万人という数字は不十分だ。そもそもG7で人数制限をしている国は他にない。「G7並み」という約束を首相は守るべきだ。

コロナ前は観光を含む短期滞在の訪日について、米国はじめ68の国と地域の人は査証(ビザ)の取得が免除されていたが、現在はすべての外国人に査証が必要だ。これも早く元に戻したい。

当初は添乗員付きのパッケージツアーしか認めないのも理解しがたい。日本人は自由に国内旅行ができるのに、外国人に個人旅行を認めないのはなぜか。外国人は訪日前に陰性証明を取得しており、コロナ対策上は日本人より安全ともいえる。理由なき外国人差別は許されない。

世界の航空会社で構成する国際航空運送協会(IATA)のウォルシュ事務総長は中国と並んで日本の水際対策を名指しで批判し、「国境の開放にむけて大胆な措置を」と提言した。全国知事会も早期のインバウンド再開を要求する。世界経済フォーラムの21年版旅行・観光競争力ランキングで日本が首位に輝き、日本の魅力がむしろ高まっていることを示した。

感染症対策にはなお留意しつつ、また旅先でのマスク着用などのルールを明確にしたうえで、世界に門戸を開くときだ。