オーバーツーリズムに解決策はあるのか? 外国の現状と対策事例から専門家が考えた【外電】
(トラベルボイス 2019年4月26日)
https://www.travelvoice.jp/20190426-127797

オーバーツーリズムを意識する旅行会社やDMOが増えている。
海外旅行客は、年間3%以上の増加し、2030年までに18億人以上になるという。
旅行アドバイザーは、混雑する場所に行かないよう提案したり、代変場所を助言するなど、適切に管理しなければ、旅行先のインフラやコミュニティー、環境に負担をかけるとの危機感を持ち始めている。

【ポイント】
オーバーツーリズムは、航空運賃の低価格化、クルーズ市場の成長、Airbnbなど安価な宿泊施設の台頭が拍車をかけている。オーバーツーリズムは世界各地で起こっているが、欧州はその影響が大きい。バルセロナ、アムステルダム、ヴェニスなどの都市では、大量に流入する訪問者への対処に悪戦苦闘している。

海外旅行客は2030年までに18億人以上に拡大すると予測。2010年以降、年間3%以上の増加ペースだ。
「適切に管理しなければ、旅行先のインフラやコミュニティー、環境に負担をかける可能性がある」
探検クルーズもオーバーツーリズムが問題になりつつある。

旅行アドバイザーは、時には特定の場所に行かないように話すことも必要。そうでない時は、代変の行き先を助言することが重要。特にアクティビティ関連や、自然・食物・文化に関係する旅行など、異なる価値の提案が必要。
「顧客より先回りして対応しないと、彼らの望むことに従うだけの状況に陥ってしまう。顧客が計画作成時に私たちの提案を考慮できるように、常に先手を取って説明している」
「観光客の少ない地域」への旅行、「混雑した場所に行こうとしている人たちの旅行プランに混雑していない場所を組み入れたり、ピークタイムを避けたりする」ことを勧める。
「それでも旅行者たちはローマやバルセロナに行くだろうし、日本に行きたがる」

オンライン旅行代理店(OTA)にとっても、オーバーツーリズムは中心的な課題。
「オーバーツーリズムは、現在混雑している欧州の主要都市を超え、さらに広がり続ける」
「責任を持って観光事業を設計・運営しなければ、あまり知られていない場所でさえオーバーツーリズムの影響をすぐに受けるだろう」
「限られた駐車スペースとたった1件の良いレストランがあるだけの小さなコミュニティーは、1台の大型バスが来ただけで限度を超える可能性がある」

EUの研究報告では、DMOと地方自治体がオーバーツーリズムの悪影響を緩和することを推奨している。
「政府機関、旅行会社、NGO、現地コミュニティーが共通戦略で協力し、観光地を管理する必要がある。
ピークシーズン以外の訪問の奨励、長期滞在の促進、人気のある場所以外への観光客の分散、何でも良い」
「欧州南部の冬と秋の日光は魅力的。世界的な温暖化で平均気温が上昇する中、暑い夏よりも旅行しやすい」

旅行業界はオーバーツーリズムを緩和するために、すでにいくつかの手段を講じている。
「GlobusやTrafalgarのようなツアーオペレーターでさえ、より多くの穴場を訪問する新たな旅行プランを作り出している。彼らは人気のデスティネーションのみに注力しているわけはない」
「クルーズ商品はさまざまな種類の寄港地観光体験を提案しており、数も増やしている。そのため、流入する旅行者の”群れ”が分散され、大勢が同じ場所に行き、同じ行動をすることがなくなる」

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。