『統合型リゾート』という言葉をご存知だろうか?
老若男女を問わず家族でも楽しむことのできるテーマパーク、劇場、映画館、ショッピング・グルメモール、温泉・スパ施設、スポーツ施設、国際会議場などのMICE施設、ホテルなどにカジノを含んだ複合施設を『統合型リゾート(IR: Integrated Resort)』と、「カジノ・エンターテイメント研究会」のパンフレットにある。
 
カジノを合法化しているのは世界に120カ国を超える。しかし、カジノを含んだ『統合型リゾート』は、ラスベガスやシンガポールなど限られた国にしか存在しないといわれている。
 
シンガポールは、海外観光客の伸び悩みを背景に、2005年にカジノを合法化し、2010年に主にビジネス向けの「マリーナ・ベイ・サンズ」と、主にファミリー向けの「リゾート・ワールド・セントーサ」の統合型リゾートを開業している。その結果、来訪者は2009年968万人から、2010年の1160万人、2011年の1317万人に増加しており、観光収入は、2009年126億S$から2010年に188億S$、2011年に222億S$と大幅に増加している。
3棟のホテルの上にプールが乗った「MARINA BAY」をご存知の方も多いと思うが、ここにカジノも設置されており、カジノは施設全体の3%(法では5%以内)だという。
 
ラスベガスは、ウィークデーとシーズンオフ対策として検討し、1931年に合法化し、発展を遂げており、現在はカジノだけでなく、世界的に有名なコンサートやボクシングのタイトルマッチ、ミュージカルや舞台が催されるとともに、国際会議やコンベンション、見本市などMICEの開催も多く、文化、経済の発信地となっており、年間3890万人もの観光客が訪れるという。
アメリカ全土の外国人観光客5970万人なので、かなりの観光客がラスベガスを訪れていることになりそうだ。
2位のオーランドには、ディズニーワールドやユニバーサルスタジオがあり、このようなテーマパークがあるところにカジノを併設して、統合型リゾートとして発展を遂げているという。
 
カジノは、イタリア語の「CASA(家)」「INO(小さい)」が語源とし、「イタリアの貴族がゲームを楽しむ館」を意味しており、ヨーロッパのカジノは格式が高いという。
ドイツのバーデンバーデンは、ドイツで最も由緒ある統合型リゾートの街だそうだ。温泉を併設した保養施設、ヨーロッパ第2を誇るオペラハウス、美術館、ゴルフ場を備えるという。
 
中国のマカオは、19世紀からカジノが開設され、2006年に統合型リゾートが開業した。カジノの売上高が世界一といわれ、豊かな税収を背景に市民の福祉も充実しており、失業率は2003年の6.1%から2011年の2.5%まで減少しているという。
 
韓国は、1967年に合法化され、主に外国人向けにソウルなどの都市部やチェジュ島などのリゾート地のホテルに併設する形で開設されている。
唯一、韓国人も入場可能な「カンウォンランド・カジノ」は、炭鉱の町の経済再生を目的として合法化され2000年に開業している。
 
続きは明日以降に書くが、カジノと統合型リゾートを一緒にして議論するのは必ずしも正しいとは思えない。都市としての発展と、ギャンブル依存症など負の問題を分けて分析した上で、それらのメリットとデメリットを勘案して、カジノを含む統合型リゾートを日本に設けるべきか否か、また、日本に設置するとすれば、どのようなスタイルにするのかの検討が必要になるのだと思う。